重視すべきは「結婚に踏み切れない人たちへの対処」

日本で求められる少子化対策とはなにか。男女共同参画会議のメンバー、中央大学の山田昌弘教授は、結婚したくてもできない人への対策をより重視するべきだと主張する。

中央大学 山田昌弘教授
「結婚した夫婦は、とりあえず2人ぐらいは産んでいる。8割以上の人は結婚を望んでいて、子供を望んでいるというわけですから。そういう結婚や子供を望んでいるけれども、なかなか事情で結婚できないという人たちへの支援というものが(今回の政府の対策で)出てこなかった。結婚に踏み切れない人たちへの対処というものが重点的に必要だと思う」

結婚できない理由のひとつに挙げられるのは、正社員と非正規雇用の格差だという。

中央大学 山田昌弘教授
「日本は正社員同士で共働きしているカップルは若い人たちの4分の1しかいない。今まで正社員じゃない人を雇った企業に助成金とかやっていますけども、(支援額の)規模が小さい。ますます格差が広がって、正社員カップルは子供は産めるが、そうでない非正規やフリーランスや自営業の人たちは子供は産めないという格差が放置されるのではないか」

一方、子供がいる世帯には、大学や専門学校など高校卒業後の教育費の負担軽減が重要だとした。

中央大学 山田昌弘教授
「やっぱり一番効くのは高等教育の親の負担軽減。高校を出た後の進学費用を考えるから子供を産み控えるという点をわかってほしい」

諸外国を見てみると…少子化対策の成功例とされているフランスでは、公立大学の授業料は無料だ。スウェーデンでも、大学の授業料は公立・私立問わず無料になっている。

中央大学 山田昌弘教授
日本、中国、韓国は子供にとにかくつらい思いをさせたくないっていう気持ちがすごく強い。高校を卒業したあと、大学や専門学校に行きたいと言ったときにお金を出せないというのは親としてつらい。(高等教育費用を)社会全体で負担しようという意識が広まらない限り、何人も子供を産もうという人は現れないと思います

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