3月30日、公正取引委員会は大手電力4社によるカルテルをめぐり、中国電力や中部電力などに総額1000億円あまりの課徴金納付を命じました。

一方、カルテルを主導したとされる関西電力は公正取引委員会にカルテルを“自主申告”したため、処分を免除されました。

3月30日、関電の森望社長は緊急会見を開き謝罪しました。

(関西電力 森望社長)

「(関電にも) 独占禁止法違反の行為があったことが認定された。お客様や株主をはじめ関係の皆様に多大なご心配・ご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。

さらに会見で関西電力の森望社長は「法令遵守体制を一層強化していく」「このような事態を二度と起こさないよう私が先頭に立って再発防止に取り組む」と述べました。

公正取引委員会によりますと、中国電力・中部電力・九州電力と関西電力は、電力小売りが全面自由化されているにもかかわらず、遅くとも2018年秋から、工場や商業施設、オフィスビルなど向けの電力の小売りをめぐり、お互いの地盤エリアで営業活動を展開しないようにするなど「カルテル」を結んでいたということです。

公正取引委員会は3月30日、一連のカルテルが独占禁止法違反にあたるとして、

▽中国電力は約707億円
▽中部電力とその子会社は計約275億円
▽九州電力は約28億円
の合計1010億円の巨額の課徴金を、それぞれ今年10月末までに納付するよう命じました。

 今回のカルテルは、関電が主導しましたが、この問題について公正取引委員会が把握する前に最初に自己申告したため、課徴金納付など一切の処分を免除されました。

 3月30日の会見で、関西電力の森望社長は他の大手電力3社が巨額の課徴金納付を命じられた一方、関電は課徴金を免れた点について、「他社についてはコメントは差し控える」と述べるに留めました。

 また、森社長は会見で、今回のカルテルについて、岩根茂樹元社長(当時社長)や森本孝前社長(当時副社長)が出席した会議の場で、他の大手電力会社にカルテルを提案する方針が固まり、森本氏は実際に中国電力などに提案したことも会見で明らかにしました。去年、森本氏から森氏に社長が交代したことと、今回のカルテルとの関連は否定しました。

 今回のカルテルをめぐっては、中国電力は、会長と社長の引責辞任を発表しました。

 関西電力をめぐっては、大規模な“顧客情報不正閲覧”など不祥事が連発している状況ですが、森望社長は会見で自らの引責辞任を否定しました。