中国を訪れている台湾の馬英九前総統。台湾の総統経験者では初めての中国訪問ですが、この時期になったのは、中国側の思惑があったようです。
記者
「馬英九前総統らの車列が中山陵の方に向かっていきます」
台湾の最大野党・国民党に所属する馬英九前総統が、きょう訪れた江蘇省・南京市。今の中国が誕生する前の「中華民国」の首都です。
国民党の創設者であり、「中華民国」建国の父・孫文の墓である「中山陵」を訪れました。
台湾 馬英九前総統
「台湾と中国が共に努力して平和を追求し、戦争を避け、“中華”の振興に力を入れることを期待している。これは、両岸(台湾と中国)の“中国人”が避けて通れない責任です。必ず努力して実現しないといけません」
台湾と中国、両方の人々について「中国人」と表現し、平和を追求すべきと訴えました。
台湾の総統経験者の中国訪問は初めてですが、台湾の人たちの反応は…
台湾市民
「中国へ行くのは馬氏の自由だけど、現在の状況からみると、行くのはいい気がしない」
「墓参りなら毎年できるのになぜ今年なんでしょう。何か特別な目的があるはず」
来年の総統選や議会にあたる立法院選挙を控え、馬氏の所属する国民党内でも「今後の選挙に悪影響を及ぼす」と懸念する声があるといいます。
ただ、専門家はリスクがある中で、この時期の訪問を主導したのは中国側だったと指摘します。
東京大学 東洋文化研究所 松田康博教授
「(中国に近い)国民党が選挙で不利になるということは、中国にとって不利ですが、ただ、それを上回るメリットが蔡英文総統の訪米」
馬前総統が中国を訪問する中、蔡英文総統はあすからの外遊でアメリカなどを訪れ、マッカーシー下院議長との会談も予定されています。
そこで思い出されるのが、去年8月。当時のアメリカのペロシ下院議長が台湾で蔡総統と会談したことに中国は猛反発。台湾を取り囲む形で大規模な軍事演習に踏み切りました。
しかし、今回は中国側も大事にしたくないという思惑があり、蔡総統の訪米に注目が集まらないよう、あえてスケジュールをかぶせた可能性が高いというのです。
東京大学 東洋文化研究所 松田康博教授
「今は中国経済が非常に弱っているので、(軍事演習などで)戦争が起きるかもしれないと連想させて、例えば海外からの投資を呼び込みたいと考えているときに非常に不利になる」
中台関係にも影響を及ぼしたゼロコロナ政策による経済のダメージ。
馬前総統は7日まで中国に滞在しますが、アメリカとの関係強化をアピールするとみられる蔡総統とは対象的な動きになりそうです。
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