金沢大学が今月末で廃止を決めている2つの学生寮をめぐり、教員の有志らが27日、大学側に対し寮生への経済的な支援などを求める緊急の要請文書を提出しました。

金沢市内にある金沢大学の男子寮「泉学寮」と女子寮の「白梅寮」は、建物の老朽化などを理由に今月末での廃寮が決まっています。期限が迫る一方で、泉学寮で暮らすおよそ10人の学生は、引っ越しにかかる費用を準備出来ないことなどを理由に、退去が難しい状況にあります。

金沢大学・碇山洋教授
「勉学とアルバイトでギリギリの生活をしている彼らにとって、転居費用を蓄えるために更にアルバイトを増やすというのは簡単ではない困難。寮生たちの自己責任にするのは正当とは言えない」

碇山洋教授ら教員有志は27日、転居が終わるまで寮に留まるのを許可することや、転居にかかる資金の支援などを求める要請書を、教員や学生30人の連名で大学側に提出しました。

金沢大学・能川泰治教授
「寮生たちはいたずらに廃寮反対を訴えていて何が何でもここに住み続けたいと頑なに主張している訳ではない。疑問や提言など学生たち声に真摯に耳を傾けてほしい」

一方、金沢大学は27日午後、寮生を対象に急遽、説明会を開催、今月末までの転居が間に合わない学生には、非常勤講師などが利用している大学敷地内のゲストハウスを1週間無償で提供する方針を示しました。学生代表をつとめる冨樫洋乃輔さんは、「学生寮は生活に困窮する学生の支えとなる場所であると捉えていたが、大学側からは『グローバル化を進めるため、留学生と関わる機会を持つことを目的に学生寮を設けている』と回答があった。学生寮の存在意義の認識に相違があり残念だ」と話しています。