イラク戦争後の混乱 独善的な大国の姿

イラク戦争を引き起こした、アメリカの独善的な論理。圧倒的な軍事力で、わずか3週間で首都を制圧しましたが、その後、過激派組織「イスラム国」が台頭するなどイラクの治安は混乱。
政情不安が今も続く中、大国アメリカへの不信感がイラクの人々には深く染みついています。
イラク市民「ブッシュは、イラクを楽園にすると約束していた。20年後の今、アメリカの約束は実現していない」
当時のブッシュ政権を無謀な戦争に駆り立てたのは、新保守主義、いわゆる「ネオコン」と呼ばれる強硬派です。
その1人であるボルトン元国務次官は、いまだ戦争の正当性を主張しています。
ボルトン氏「フセインが大量破壊兵器を求めていたことは間違いない。軍をイラクから撤退させる必要はなかった」
2つの戦争、止める手立ては?

そして20年を経て、今度はロシアと、再び大国主導で起きたウクライナ侵攻。世界はなぜこうした戦争をとめることができなかったのでしょうか。
3月2日、国会で行われたイラク戦争を巡るやり取り。
山本太郎議員「イラク戦争はどうだったと思われます?イラク戦争は間違いでしたか?正しい戦争でしたか?」
岸田文雄総理大臣「わが国として、イラク戦争を評価をする立場にはないと考えています」
当時、イラク戦争では、同盟を重視する日本は、アメリカに追随して支持を表明。
その後、戦争の正当性に大きな疑問符がつきましたが、日本の対応についての検証はいまだ十分なされていません。
一方で国際社会もまた戦争を止めることができませんでした。この状況の背景にあるものを、専門家は…
五野井郁夫・高千穂大学教授「“大国のエゴ”というものが、今回の戦争と20年前の戦争の共通点。力を持つものが自分のエゴで、武力を行使するということが当たり前になってしまっている。我々は力ではなく、法の支配の順守なしには人類の発展はありえないのだということを歴史から学ぶべき」
大国の身勝手な論理で引き起こされた2つの戦争は、何を物語るのでしょうか。
(サンデーモーニング2023年3月26日放送より)














