全国の薬局で必要な薬が手に入りづらい状況が続いていて、来月の一部値上げを前に買い占めによる品不足の悪化が懸念されています。影響は身近な漢方薬や花粉症の薬にも…。
東京・中野区にある調剤薬局。およそ1200種類を扱う調剤室にはいたるところに「出荷調整」の表示が。
とおやま薬局 遠山伊吹薬剤師
「のどの痛み止め、カプセルのお薬がもう2人分ぐらいしかない」
こちらではおよそ1年前から200種類ほどの薬が予定通り入荷が出来ない状況が続いているといいます。
とおやま薬局 遠山伊吹薬剤師
「業務終わりに発注をかけても、1週間とか2週間経ってから納品されることが多々ある」
薬の供給をめぐっては、2020年に起きたジェネリック医薬品メーカー「小林化工」の不祥事を機に、ほかのメーカーでも次々と製造工程の問題が発覚。
また、コロナの影響によって解熱鎮痛剤の「カロナール」などの需要が高まり、メーカーによる薬の出荷調整が相次ぐ事態となっています。
さらに薬不足に拍車をかける事態も…。
とおやま薬局 遠山伊吹薬剤師
「こちらは4月から大体薬価が9%ほど上がるので、こういったものはなかなか入りづらい状況」
来月から行われる薬の「値上げ」です。
政府は来月から、漢方の「葛根湯」や解熱鎮痛剤など、物価高の影響などで採算がとれなくなった1100品目の薬の価格を引き上げることを決定。
その中には花粉症に対して使われる薬も含まれていて、花粉の飛散がピークを迎える中、値上げ前の「買い占め」による品不足も懸念されています。
「薬が足りなくて『後で送ります』と言われたことがあります。お薬がどんどん値上げとか足りなくなったりしたら困ります。本当にどうしたらいいんでしょうね」
専門家は、値上げの影響はあくまでも一時的なものだとしたうえで、薬不足の状況自体は不祥事を起こしたメーカーが新たな体制を整えるまで「当面続く」と指摘します。
神奈川県立保健福祉大学大学院 坂巻弘之教授
「製造手順書を正しいものに作り変えないといけない。作り変えたものを規制当局に承認してもらう作業が必要だが、それらを全部合わせると(体制を整えるまで)2年ぐらいかかってしまう」
薬の需要が高まる中で長引く“薬不足”。必要な薬が行き渡るよう、対策が求められています。
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