去年3月、福島県内を襲った最大震度6強の地震から16日で1年です。
県内ではこの地震で1人が死亡したほか101人が重軽傷を負いました。
また、建物は全壊が165棟など被害は3万4000棟余りに上りました。
こうした中、特に県内でも被害の大きかった場所の1つが相馬市の松川浦地区にある旅館街です。この旅館街で今年から営業を再開した1軒の旅館があります。
地震の被害を乗り越えた先には、もう一つの困難がありました。
丸三旅館 管野正三さん「直したんだもん、きれいになるでしょ。直さなきゃ、きれいにしなきゃお客さん来ないよ」
こう話すのは相馬市の松川浦地区で旅館を営む管野正三さんです。

管野さんが経営する丸三旅館は、去年3月の地震で内壁などが崩れた影響で休業を余儀なくされました。
その後再建工事を進め、今年1月にようやく営業を再開しました。
管野正三さん「仕事できないでいましたから、ようやく仕事ができるということで(建物が)直って嬉しかった」
一方、営業再開後に大きな負担となっているのが「電気料金の高騰」です。
営業再開後の光熱費は以前の3倍以上に増加し、月におよそ40万円にも上るということです。
管野正三さん「今後どんな風になるんだろう。働けど働けど電気料のために働いているようなもので、こんなのでは維持できないだろうなと。ある意味災害だなと思う」
旅館組合の組合長でもある管野さんは、行政に働きかけるなど次の世代にも旅館街を残すため自分のできることをしていきたいと前を向きます。
管野正三さん「大変だ大変だとばかりは言ってられないので(組合長として)色々なことを行政に言える立場なので、そういったところに働きかけながら次の世代に残せるものは残して自分のやれることをやっていこうと思う」
市の観光協会によりますと、松川浦地区の旅館や民宿の半分以上が現在も休業しています。
そしてもう一つ、復興への妨げとなっているのが「進まない解体工事」です。
相馬市内では、屋根にブルーシートがかかったままの家や取り壊されず崩れたままの状態となった建物が多く見られました。
市によりますと、公費で解体することが決まった1169棟のうち、工事が終わったのは2月末現在で500棟にとどまっているということです。
理由は「人手不足」です。市の担当者によりますと、当初は市内の業者に解体工事を発注していたそうなんですが、仕事が追いつかないほど件数が多いため、現在は県外の業者にも発注しているということです。それでも対応しきれていないのが現状だということです。














