去年、知的障害を持つ74歳の兄を70歳の弟が殴打し、その後、遺体で見つかった富山県上市町での事件。その弟も精神科の受診を続けていて、裁判官は「社会の中で更生する機会を与える」として猶予付き判決を言い渡しました。
傷害の罪で判決を受けたのは、富山県上市町の無職、栗井昇被告、70歳です。

判決によりますと、去年8月、栗井被告は自宅で2人暮らしをしていた兄、博光さん(当時74)の頭部を木の棒で叩き、けがをさせたとされています。
15日の初公判で、栗井被告は犯行の動機をこう説明しました。

弁護士:
「どうして実の兄を木の棒で叩いたのですか?」
栗井被告:
「兄貴、毎日『死ぬわ死ぬわ』って言っていて、『やめろ、叩くぞ』と言ってもいつまでも言うもんだから叩いた」

兄の博光さんは知的障害があり、栗井被告は2011年にも同様に博光さんに暴行を加えたとして傷害の罪で執行猶予付きの判決を受けていました。

この日の公判で検察側が明らかにした栗井被告の姉の証言によりますと、栗井被告は以前から自分の思い通りにならないことがあると周りの人に暴力をふるう傾向があり、精神科を受診していたということです。


そして去年8月、栗井被告は寝室にいた博光さんの頭部を木の棒で殴打。4日後に自宅を訪れた姉が博光さんが動かないことから警察に通報しました。

判決では博光さんの死因は糖尿病との合併症であり、殴打によるケガが死因ではないとしていますがー。

栗井被告:
「僕がたたいたから亡くなったと思っている。兄貴に悪かった」

検察官は「常習的に暴力を加えるなど酌量の余地がない」として、懲役1年6か月を求刑。
富山地裁の細野高広裁判官は「社会の中で更正する機会を与えることにした」として、懲役1年6か月、執行猶予4年の判決を言い渡し「どうか罪を犯すことがないように、社会で生活してください」と言葉をかけました。














