政府が売り渡す輸入小麦の価格は4月以降、5.8%値上げされ過去最高値になります。都内のベーカリーの店主は、パンの値上げに対して消費者の理解が進めばと、苦しい胸のうちを明かしました。

創業110年の都内の老舗ベーカリー。人気ナンバーワンのカレーパンは去年から今年にかけて2回値上げし、170円から190円になりました。それ以外のすべての商品も価格を引き上げましたが、値上げは不十分だったといいます。

マルジュー 伊東正浩 代表取締役
「パン=小麦とお客さんが思われてるけれど、基本的にはパンっていうのは食用油とか他の副材料が結構多いんで、価格転嫁することにおいて、なかなか苦慮している」

輸入小麦の売り渡し価格は年2回改定されますが、去年10月は政府が物価高対策として小麦の価格を据え置いたため、パンの値上げがしづらかったというのです。

パンの発酵や焼くための電気代は、1年でおよそ20万円上がったほか、油やバター、人件費なども軒並み高騰。価格転嫁しきれていないのです。

こうしたなか、きょう、農水省は4月以降の輸入小麦の売り渡し価格を発表。国際相場をそのまま反映させると13%ほどの値上げとなる見込みでしたが、値上げ幅を5.8%に抑制しました。

値上げが行われることに店主は…

マルジュー 伊東正浩 代表取締役
「前向きに(考えています) 政府がそういう形で言っていただけることによって、(値上げに対する)消費者の理解は進むのかな」

小麦の価格も上がった方が、価格転嫁への理解が進むのではと期待します。

ちなみに、値上げ幅の抑制による国の負担はおよそ100億円。ただ、物価全体の押し下げ効果はごくわずかなものと見られています。