「俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ。首が飛ぶぞ」
2014年11月。当時の総理補佐官・礒崎陽輔氏が、総務省の放送行政を担当する課に、電話で連絡したことから始まった。

礒崎総理補佐官(当時)
「放送法に規定する『政治的公平』について局長からレクしてほしい」
これまで政府は、放送法が定める政治的公平について、“一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する”と解釈してきた。
しかし、礒崎氏はこの解釈に問題意識を持っていて、国会で取り上げたいとして、総務省に対応を求めたという。
2014年11月28日の文書 礒崎総理補佐官(当時)
「1つの番組では見ない、全体で見るというが、全体で見るときの基準が不明確ではないか」「絶対おかしい番組、極端な事例というのがあるのではないか」

文書には、この日以降、総務省側が対応に苦慮する様子も。
2015年1月29日の文書 総務省から磯崎氏への回答
「総務省のほうから(唐突に)今回の『極端な事例』を答弁することは困難。業界等の反応を懸念。そこはご理解いただきたい」
しかし、礒崎氏は―。
2015年1月29日の文書より 礒崎総理補佐官(当時)
「言ってることは分かるが、『極端な事例』が総務省の答弁として残らなければ意味がない。高市大臣のご了解が得られたら連絡してほしい」
総務省はその後、大臣である高市氏に報告。すると、高市氏は。

2015年2月13日の文書より 高市早苗総務大臣(当時)
「苦しくない答弁の形にするか、それとも民放相手に徹底抗戦するか。官邸には『総務大臣は準備をしておきます』と伝えてください」
一方、礒崎氏について報告を受けた総務省出身の総理秘書官(当時)、山田真貴子氏は―。

山田真貴子総理秘書官(当時)
「『個別の番組』の(政治的公平の)整理を行うのであれば、放送法の根幹に関わる話ではないか」「政府がこんなことしてどうするつもりなのか」「言論弾圧ではないか」
それでも総務省に対し、礒崎氏は―。

礒崎総理補佐官(当時)
「この件は俺と総理が二人で決める話」「俺の顔をつぶすようなことになれば、ただじゃあ済まないぞ。首が飛ぶぞ」
そして、2015年3月。安倍氏と礒崎氏、山田秘書官らの面会が設定されたという。
山田秘書官は「メディアとの関係で官邸にプラスになる話ではない」と発言。
しかし、安倍氏は―。

安倍総理(当時)
「政治的公平という観点からみて、現在の放送番組にはおかしいものもあり、こうした現状は正すべき」「極端な例をダメだと言うのは良いのではないか」
そして、礒崎氏が求めていた国会答弁についてはー。
安倍総理(当時)
「国会答弁をする場は予算委員会ではなく総務委員会とし、総務大臣から答弁してもらえばいいのではないか」
その翌日の夕方、総務省でも局長が高市氏に対し、礒崎氏の話を説明したと記されている。(2015年3月6日の文書)
高市氏の第一声は。