JR東海はリニア新幹線のトンネル工事に伴う水の県外流出対策「田代ダム案」について、永続的なものではなく、工事の一定期間に限った対策であると確認する文書を静岡県に対して送付しました。
JR東海が提案する「田代ダム案」は、大井川上流にある東京電力の発電用ダムの取水量を抑えて、リニア工事による水の県外流出分と相殺する案です。
この「田代ダム案」について、JR東海は約10か月と想定される工事の一定期間に限った案であること、永続的なものではなく、東京電力側の水利権に影響を与えないことなどを前提条件とするとして、静岡県に対して3月8日、文書で送付し、理解を求めました。

静岡県の専門部会では、委員や県の意見として「『田代ダム案』を工事後も将来にわたり、実施することが必要」との見解が示されていて、JR東海の求める前提と食い違っています。
「田代ダム案」の実現性をめぐっては、2023年1月の県の専門部会で水利権を持つ東京電力側の確約をとるように、専門家からJR東海に注文がありました。一方、東京電力側からは流域市町などの関係者に本格的な議論を行うことへの確認をとることが必要との見解が示されたため、JR東海は今回、県の了解を求めた格好です。
JR東海は順次、流域の市や町や利水団体にも同様の確認作業を進めたいということですが、窓口となっている県は関係者が一堂に会する大井川利水関係協議会でJR東海の考える前提条件について、判断を仰ぐことも検討しています。