2023年2月の東京23区の消費者物価指数は3.3%上昇となり、1月から1.0ポイント下がった。ただ、食品価格の高騰は加速しており、先行きは予断を許さない。

3月は3442品目の食品が値上げ 物価上昇の基調は高いまま

帝国データバンクによると、2023年1月から4月に値上げされる食品は1万4451品目におよび、前年同時期と比べ、3倍のペースで推移し、さらに3月から3442品目の食品が値上がりする。こうした状況を受け、岸田総理は自民、公明の政調会長と会談し、追加の物価高対策を3月17日までにまとめ、政府に提言するよう指示した。

今後賃上げするという企業の数は、2022年と比べ増加傾向にある。日本商工会議所が行ったアンケートの途中集計によると、主に東京都内に本社を置く中小企業の58.2%が今年の春闘を含め、2023年度に賃上げを実施すると回答している。

日本商工会議所の小林健会頭は「賃上げ率もある程度上昇してきている。これはもちろん価格転嫁がある程度進んでいるということ。一言で言うといい傾向が見えてきたということ」と述べた。

3月3日に発表された、2月の東京23区の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いて、2022年より3.3%の上昇となった。電気や都市ガスの負担軽減策が始まったことで、1月と比べ物価上昇率は、1ポイント押し下げられたが、日銀が重視する生鮮食品とエネルギーを除いた数字では、前年比3.2%の上昇と、1月の3.0%から加速。経済対策など特殊要因を除いた物価の基調は、むしろ強くなっている。

物価の先行きについては、日銀総裁候補の植田和男氏が、物価の基調が改善しつつあるとした上で、「消費者物価の上昇率は、23年度半ばにかけて、2%を下回る水準に低下していくと考えられます」と述べた。物価高は落ち着きを見せるとする植田氏だが、現在の状況をどう見ればいいのか。第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏は、食品の値上げが続く中では物価の基調は高いままだと言う。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏
「物価上昇の基調が非常に強く、食料品はまだまだ値上げが続く。それも1回の値上げではなく、3回目、4回目と、4―6月にかけても食料品の値上げが相次いでいますし、値上げの品目が激増しているというのは驚きなので、物価上昇圧力は非常に強いと思います」

今後の物価の見通しについては、以下のように述べた。

第一生命経済研究所 熊野英生氏
「4月以降の物価上昇圧力は、人為的に抑え込むかもしれないので、基調的な動きは4―6月がピークなのではないか。食料品の値上がりが、何千品目増えていくような状況では、おそらく年度後半も2%を上回るのではないかと思います」