
実現に向けて福田さんたちが向かった先は長崎市の山の中です。
ここでは長崎市の企業が実際にクエの陸上養殖を行っていて、その技術やノウハウを3年ほどかけて学びました
“幻の高級魚”と言われる魚──クエを手軽に
そして 安全に手に入れられることが『陸上養殖の最大のメリット』だと福田さんは感じています。

福田 明美さん:
「漁師さん。魚を捕りに行く方たちはどうしても危険と背中合わせ。私の幼馴染も漁師さんだったけど漁で亡くなっているんですよ。
安全に身近にこうやって(魚を)見られることが 私は幸せだなと思って」
“陸上養殖” は 『 安全な未来の漁業 』──
定年した夫も巻き込んで…


福田さんたちが最初の拠点に選んだのは、佐世保市にある漬物工場跡地です。
2022年12月、およそ400万円かけてここに直径3メートルの水槽を設置しました。
福田 明美さん:
「ほんとに夢の足掛かりができたような感じで」



さらに建物の一階部分300平方メートルあまりを “水揚げから加工まで” 一連で行えるように改修。
魚の鮮度が保たれるうえ 作業効率アップにもつながります。
設備を整える一方、福田さんは2022年、定年を迎えた夫の勝行さんも巻き込みました。

リクヨーファーム 2022年4月入社 福田 勝行さん:
「楽しいですよ。大変ですけどね」
こうして養殖を始めるための体制は着々と整っていました。
しかし…

まさかの水温低下

福田 明美さん:
「最低でも18度~20度。もうちょっと上げていかないといけないんですけど、今は11度なんで」

2022年末、長崎県内を襲った強い寒波。
こうした “厳しい冷え込み” の中では 水槽のヒーターが機能せず、水温が上がらないことが判明したのです。

クエは低温に弱い魚です。水槽に活きたクエが入っていたら大惨事でした。
福田さんたちは、ヒーターの数を3倍にするなど、急遽設計を見直すことになりました。

福田 明美さん:
「今の状態だったら、もう入れたらすぐ死んでしまうくらいの冷たさ。
週末雪ということなんで…(水槽にクエを入れるのは)また伸びるかもしれないですね」