被告人質問でA「弱いヤツがやられる。だから弱いヤツはやってもいい」
【被告人質問 検察官とAのやりとり】
検察官「S工業でのことが、今回の事件を正当化させると思っていませんか?」
A「思っていないです」
検察官「事件当時、暴力をふるった理由は?」
A「暴力になじんでいたことが理由だと思います。結果としてぼくが選んだことですけど、S工業では『弱いヤツがやられる』ということを言われてきたので」
検察官「逆に言うと、弱いヤツはやってもいい?」
A「そう教えられました」
Aから出た「むごいことをしてしまった」という言葉
被告人質問後、裁判官は病院搬送時の男性の写真をAに見るよう求めました。
男性の写真を法廷で初めて目にしたAは、感想を聞かれ、「とてもむごいことをしてしまったと思う。ささいな理由でここまでやってしまったことは謝罪では許されない。本当に申し訳なく思っています」と述べました。
7日に開かれた裁判で、検察側は、Aが「自身の不満を解消するためという理不尽な理由から暴力的手段という卑劣で反社会的方法を選択し、計画性が認められる。きわめて残忍な犯行によって生じた結果は重大で、被害者家族も厳重処罰を希望している」として、「特定少年であることを特に有利に考慮すべきとはいえず、厳罰に処し、その刑事責任の重さを自覚させ、更生を求める必要がある」などとして懲役8年を求刑しました。
一方で弁護側は、「暴力や非行とは無縁のAに粗暴性が生じたことにはAの職場の影響が否定できない。反社会性が定着した大人とは違って、環境調整や問題解決のための教育などを行えば、以前の生活に立ち返ることが可能で、保護処分による更生が妥当」、「事件の最大の原因は暴力が集団化したことであって、被害者の転落は予想できなかった」などとして、少年院への送致を前提として、事件を家庭裁判所に移送することを求めました。
裁判長から「最後に言いたいことは」とたずねられたAは、「取り返しのつかないけがをさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」と述べました。
裁判は結審し、判決は14日に言い渡されます。