“台湾有事”を起こさないよう対話を求める声が高まるなか、台湾への圧力を強める中国に対して今、日本が取るべき対話・外交のアプローチについて、2人の専門家の異なる見方を取材しました。

「政府は対外的軍事緊張をもたらすミサイル配備をやめて 対話による外交の充実・強化こそを図るべきです」

2月26日の那覇市。台湾有事を念頭に置いた防衛力強化に対し、対話・外交を求める大規模なデモ行進がありました。

デモ隊「平和外交!日中友好!」

有事の回避につながる対話・外交とはどんなものか。政府が「外交・経済なども含めた総合安全保障」を打ち出すなか、専門家の間には様々な見方があります。

外交力を高めるために、防衛力の強化が重要だと説明するのは、中国や台湾政治関係に詳しい東京大学の松田康博教授です。

東京大学 松田康博教授「外交力っていうのはただ単純に "外交力" というものだけが存在しているのではなくて その後ろ盾が必要です。それは強大な経済力であるかもしれないし強い防衛力であるかもしれないわけです。防衛力が強い方が外交力は増します。ですから日本が外交努力をして様々な紛争が起きないようにする上で、防衛力の増強というのは極めて有効な選択肢」

相互不信に陥った国々が互いに軍事力強化をエスカレートさせる『安全保障のジレンマ』。

双方が自制することで解決を望む声もありますが、松田教授は自制のアプローチを中国に当てはめて考えることは難しいと指摘します。

松田教授「まったく恣意的に防衛力を増大し核兵器を増産することができる。これが中国の特徴で、彼らはこれを社会主義の制度的優越性だと考えているわけです。彼らの考え方では 日本やアメリカや台湾が躊躇してる間に、大軍拡をして抜き去ってしまう。話し合ってお互い減らしましょうというのは極めて難しい」

そのため日本も含めた同盟国の防衛力を強化し、中国の軍事力との差を維持することによって、台湾侵攻を防ぐべきだと考えています。

松田教授「武力を使って現状を変更するというのは極めて大きなコストがかかり、リスクも非常に大きい。そのコストを(中国に)さらに積上げさせる。彼らの計算をますます難しくさせていくと」