親による信仰の強要や虐待など、いわゆる「宗教2世」の問題が注目されていますが、キリスト教系の宗教団体「エホバの証人」でも同様の問題が報告されているとして、27日、支援対策弁護団が厚生労働省に申し入れを行いました。“子どもの輸血を拒否する”、“子どもをムチで打つ”などの“教え”について、2世信者が語ったこととは…。

「エホバの証人」2世信者 明かされる“ムチ”など児童虐待

「エホバの証人」。アメリカに本部を置くキリスト教系の宗教団体で、日本支部HPによると、世界に約870万人、日本には、約21万人の信者がいるとされています。

いわゆる“宗教2世”の問題で、2月27日の午後1時すぎ、「エホバの証人」の2世信者を支援する弁護団が厚生労働省に申し入れを行いました。

「エホバの証人問題」支援対策弁護団 田中広太郎弁護士
「エホバの証人という組織の中では、過去相当長い間、ムチと呼ばれる児童虐待が行われていた事実は、これは間違いないと確信しております」

“子どもをムチで打つ”。こうした行為が、児童虐待防止に関する厚労省の指針に反しているというのです。

教団のHPには、聖書の教えとして、こう記されています。「むちを控える人は子供を憎んでいる。子供を愛する人は懲らしめを怠らない」

弁護団のもとには、被害の相談が約100件寄せられ、このうち77件がムチで打たれたなどの内容だったといいます。

2022年12月、旧統一教会の問題をきっかけに、信仰を強要されたなどと訴える宗教2世が、当事者団体を設立しましたが、ムチについて、「エホバの証人」の2世は・・・

「エホバの証人」2世 団作さん(仮名)
「小学生の時は身体的虐待と隣り合わせの日々です。(集会で)ちょっとでも居眠りすれば帰ってムチです。電気コードでぶっ叩かれます」

2世信者 “輸血拒否”に対し「輸血できるように…」

さらに、「エホバの証人」の教えとして、代表的なものが、「輸血の拒否」です。

2月27日の午後7時すぎ、news23の取材に、30代の2世信者が示したのは、医療従事者に対し、“輸血をしないよう”意志を示すための書類でした。

男性は、10代の頃、病気のため、手術を受けることになりましたが、母親は輸血を拒否したといいます。

エホバの証人2世(30代)
「『輸血しないとうちの病院では手術できないよ』と言われた。輸血しなくても(手術が)できる病院を探したんですけど、自分が死ぬんだって、すごく怖かったです」

輸血拒否をめぐっては、1985年に信者である両親が、交通事故でケガをした小学5年生の長男の輸血を拒否し、長男は死亡。社会問題になりました。

「エホバの証人」は、輸血を拒む理由として「神に敬意を払いたいから」などと説明していますが…

エホバの証人2世(30代)
「これを書くことでエホバ・神様のために自分を差し出すことができると本気で思っていた。大人も子どもも輸血したい人は輸血できるようにしてほしい。子どもは選択できないので、親から勧められたら拒否できない、そこだけはやめてほしい」

厚労省がまとめた指針では、「医師が必要と判断する医療行為、輸血などを受けさせないことは、児童虐待に該当する」と明記されています。

「エホバの証人」は、次のように主張します。

エホバの証人の声明
「組織に不満を持つ元関係者のコメントのみに基づいて、歪んだ報告や誤った結論が出されていることに、私どもは心を痛めています」