ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく1年を迎えるなか、プーチン大統領が連日、メッセージを発信し続けています。ロシアの「祖国防衛の日」に公開したビデオメッセージで、ロシア軍が保有する陸・海・空の核戦力を強化していくと表明しました。

年次教書演説の中で触れられなかった、新型ICBM発射実験…失敗か?

軍人を称えるロシアの祝日、「祖国防衛の日」。
プーチン氏が訪れたのは、第二次世界大戦で命を落とした戦没者の慰霊碑。

献花後、1分ほど黙祷を捧げました。

また、軍関係者と話す場面も。

軍事関係者
「特別軍事作戦の参加者を支援していただき、心より感謝いたします」

プーチン大統領
「祖国を持っている人を支援することは、国家の神聖なことで、当然のことです」

これに先立ち、プーチン氏はビデオメッセージを公開。

プーチン大統領「我々の戦士たちはいま、ウクライナに根付いた“ネオナチズム”と勇ましく戦っている。特別軍事作戦に参加している軍人や志願兵、動員された人に、祝いの言葉を伝えたい」

そして、表明したのが…

プーチン大統領「“核戦力の3本柱”を強化する

プーチン氏が言う「3本柱」とは、ロシア軍が保有する、陸・海・空の核戦力のことです。

具体的に挙げたのは、核弾頭を搭載できる新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)「サルマト」の実戦配備です。

防衛省防衛研究所 兵頭慎治 氏
「(サルマトは)10個以上の核弾頭が搭載可能な、新型のICBM。射程が1万1000キロ以上で、ミサイル防衛システムでは迎撃できない、極超音速のミサイル

他にも、極超音速ミサイル「キンジャール」や、海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」の大量供給を始めるとしました。

このICBM「サルマト」をめぐっては、アメリカのCNNテレビが、「バイデン大統領のウクライナ訪問中に発射実験が実施されたものの、失敗した模様」だと伝えています。

防衛省防衛研究所 兵頭慎治 氏
「本来であれば、大統領年次教書演説の中で、サルマト発射実験が成功した、と強調する予定だったが、発射実験が失敗したことで、触れなかったとみられる」

失敗説も指摘される中、強気な姿勢を崩していないプーチン氏。
核戦力の増強は実現できるのでしょうか。

防衛省防衛研究所 兵頭慎治 氏
「経済制裁によって、半導体など電子部品の入手が十分にできない中、果たして実態が伴うものなのかどうか、慎重に見極めていく必要がある」