マイナンバーカードが無いと無料だった給食費が“有料”に?
山内キャスター:
メリットがあったり便利になるのはいいことなんですが、不利益を得るんじゃないかというところもあります。
マイナンバーカードの自治体の交付率(総務省 1月末時点)をみてみると…

【特別区・市】【人口に対する交付枚数率】
宮崎・都城市 90.1%
兵庫・養父市 89.1%
石川・加賀市 83.1%
マイナンバーカードの普及率が高いところは90%を超えています。

一方、岡山県内で1位(72.9%)の備前市では“マイナンバーカード普及策”に市民から抗議の声が上がっています。

備前市は全国トップレベルの教育にしたいということを謳っていて、子育て支援が豊富なんです。小中学校は給食費、ドリルなどの学用品も無料。保育園などの保育料も無料なんです。
これまでは一律無償でしたが、2023年度からは「世帯全員がマイナンバーカードを取得」していないと有償になってしまうということです。

これに対して備前市の市長は「全国どこの自治体もほぼ給食費を徴収しており、本市が有償に戻したとしても、なんらおかしい点はない」としていて、給食費や保育料というのは、いわゆるカードを取得したときの報酬、ポイントと同じ考え方でしょうということなんです。

こちらにはかなり批判が集まり、人口を超える4万6000人分の反対署名が提出されています。
では、なぜ自治体が躍起になって交付率を上げようとしているのでしょうか?
この背景には、地方交付税の一部をマイナンバーカードの交付率に応じて配分する方針があるということです。

これに対して、群馬県・山本一太知事は2022年9月に「恫喝するみたいな形で広めようとするアプローチが間違い」と批判しています。
また、埼玉県・秩父の北堀篤市長も「地方自治体への脅しともとらえられあるまじき手法」としていました。

岡山県・備前市の場合、無償化の財源は、2023年度分については“新型コロナの交付金”を使いました。
2024年度は、ふるさと納税の寄付金を積み立てた基金を使っていくということですが、市の担当者によると「“カード”の普及によって市の歳入が増えれば、(地方交付税が増えれば)政策も続けやすくなる。財源の一つになってくれれば…」としています。
井上貴博キャスター:
政府が焦っているというのもわからなくはないですが、地方交付税を人質にとっているようにも見えてしまう。元々任意だったはずで、だとすれば正々堂々ともう義務化に舵を切りますということを表明した方が、まだクリアでわかりやすいかなという気さえしてしまいます。