ハッピーの耳が張りつめたように…

勘坂さん:
「初めて見ました。そのすごい張りつめた耳。ここに本当に針金が入ったようにピーンと…」

ハッピーの耳がピーンと立っていたのです。勘坂さんが、こんな様子のハッピーを見たのは初めてでした。これは何かがあったに違いない。とっさの判断で、耳が立った方向にライトを照らすと…。

勘坂さん:
「で、ライトで照らすと、あのポールのあたりにおばあちゃんおられて…」

勘坂さんがライトで照らしたその先に、暗闇の中、女性の姿があったのです。

勘坂さんは女性に「何をしているんですか?」と聞くと「散歩をしている」と答えました。この人が探している女性なのでしょうか。勘坂さんはハッピーに指示を出します。

勘坂さん:
「おばあちゃんの手の甲のにおいを嗅いでと言ったらかぎました。つんつん、こんな感じです。合っていたら座ってと(言ったら)こうです(座った)」

ついに探していた女性を発見したのです。家族によると、女性は認知症の疑いがあるといいます。真冬の暗闇で、用水路に転落して命を落とす高齢者も相次いでいます。早期発見につながったのは飼い主の勘坂さんとハッピーとの信頼の絆が生んだ奇跡…まさに「阿吽の呼吸」でした。

勘坂さん:
「耳ピーンが、いつもと違うと思ってライトを照らしました。私も疲れて帰っていたら見つけられていなかったと思います。だから、本当に(犬が)何を言いたいかを見極めるのが大事だなと思って…。犬が探しているのに、人間が見落としていたら、見つからなかったということじゃないですか」

ハッピーと勘坂さんのお手柄をたたえ、2月17日小矢部警察署から感謝状が贈られました。

お手柄のハッピーには、副賞としてドッグフードが贈られました。大好物を目の前にハッピーも大興奮です。

勘坂さん:
「犬の力ってすごいなと。犬たちが喜んで(行動)してくれる限りは続けていきたいと思っています」

警察犬でも2種類があり、ハッピーは一般の人が飼育や訓練を行う「嘱託警察犬」です。

厳しい選考会を経て、各地の警察本部で採用され、県内には現時点で11頭が登録。出動時間に応じて1時間につき日中は3千円、夜間は4千円の報酬が出ます。

一方の「直轄警察犬」は警察が飼育する犬ですが、現在、富山県警にはいません。

勘坂さんは、2015年から夫の真司さんとともに「嘱託警察犬」を飼育し始め、警察犬の技術を競う全国大会に毎年出て、技術を磨いてきました。