新型コロナの影響で打撃を受けていた観光業は復活の兆しが見えています。
しかし、宿泊施設の中には多くの客を受け入れられないという深刻な悩みを抱えるところも出てきています。
そのわけは?
山梨県笛吹市の石和温泉郷にある旅館きこりです。

1月の宿泊客は2022年1月のおよそ2倍に上り、2月も土日中心に満室になる日があり、コロナ禍前に戻りつつあるといいます。観光の需要が高まり先行きは明るいはずですが…

きこり 山下安廣会長:
人手が無くて回らないという状況です。

新型コロナの落ち込みから一転、多くの宿泊客を受け入れたいところですが、人手不足が深刻な問題となっています。

きこりではコロナ禍で2割以上、従業員が減りました。

山下会長:
(コロナ禍で)休業補償をいただいていたが、満足できない方もいて退職した人もいる。

この人手不足で一部の宿泊客には食事を提供できない状態になっています。

山下会長:
薄利にして(夕食なしの)朝食付きとか素泊まりとかで部屋の何割かを埋めている。

そして現状では、満室が連日続くと対応できないといい、人材確保に動いていますが、それには待遇面も伴うため、なかなか見つかりません。



山下会長:
人員を確保したいが、今の国の要請で給料を上げなさいと一概に言われても、電気料からガス代、灯油、仕入れ材料も全部値上がりしている、その中で給料を上げろと言うのは、我々零細企業は厳しい。どういうふうにして切り抜けていいのか策もない。

帝国データバンクの2022年10月の調査では県内のホテル・旅館を含むサービス業は全体の3分の2にあたる、約67%が人手不足と回答していて、この解消が再起のカギとみています。


帝国データバンク甲府支店 岩渕勝成支店長:
ホテル・旅館といった業界に関してはかなり前向きな見通しが描けると思っているので人材が確保できればプラスの将来があると思う。

新型コロナは2023年5月に感染症法の「5類」に引き下げられ、国の内外からさらに観光需要が高まることが想定されますが、宿泊業者は受け入れ態勢が整わない苦しい台所事情となっています。