マイナンバーカードをめぐる問題です。いま「小中学校の給食費などの無償化の対象を、マイナンバーカードを取得した世帯に限る」と、岡山県備前市が方針を示し、大きな波紋を呼んでいます。

備前市では子育ての負担を減らそうと、2022年度から「小中学生の給食費や学用品の費用」、また「保育園やこども園に通う園児の保育料を無償化」していました。

保護者らからも好評だった取り組みですが、去年12月、備前市の教育委員会は「全員がマイナンバーカードを取得した世帯に限る」と通達。これに対して「義務ではないカードの取得を半強制的に促されている」などと、反対署名が約4万人分集まる事態に発展しています。

きょう(14日)備前市の吉村武司市長が予算案の説明の場で、この政策に対する認識を述べました。

(吉村武司 備前市長)「より多くの市民の皆さんに、マイナンバーカードを取得していただくことが、相互の利益に繋がる」

説明の中で今回の政策は、マイナンバーカードを取得した「インセンティブ=報酬」だという認識を示しました。小中学生の給食費・保育料の無償化を「マイナンバーカードを取得した世帯に限る」としたことで、波紋を呼んだ今回の政策です。

全国で普及が進むマイナンバーカード。備前市は、先月末時点で72.9%と県内で最も高い水準で全国平均も上回っています。吉村市長はこの政策で、カードを取得するよう市民に強制させた事はないと話しました。

(吉村武司 備前市長)「カードの取得は個人の判断であります。あるいは保護者の判断であります。備前市が強制するものではありませんし、国が強制するものではありません」
小学生の子どもらを持つ保護者からは、戸惑いの声もありました。

(吉本陽子さん)「この文書を見ただけで『強制』以外の何物でもないと感じて」

市民団体に参加する吉本さんは、メンバーらと直筆・オンラインで4万4095人分の反対署名を集めました。「子育てしやすい」と移住してきた市民もおり、市に政策の変更を促しています。

(吉本陽子さん)「市長さんには、もう一度よく検討していただいて、今まで通りの少子化対策を継続していただくことを願います」

(スタジオ)保険証などを一体化して、行政サービスの効率化や利便性の向上も期待されるマイナンバーカードですが、原則、取得は「個人の自由」となっています。備前市は、岡山県でも取得率の最も高い自治体ということで、今後のためにも住民が納得する十分な説明をしてもらえればと思います。

















