政府は黒田総裁の後任に経済学者の植田和男氏の起用を固めました。学者からの起用は「戦後初」ということで、サプライズ人事とも言われています。植田氏は記者団を前に「金融緩和の継続が必要」との見解を明らかにしました。

「学者でずっと来ましたので…」

突如、浮上したサプライズ人事。政府が日銀・黒田総裁の後任として起用を固めた経済学者の植田和男氏です。

――総裁になったらどのような政策を?

植田和男氏
「金融政策は景気と物価の現状と見通し、先行き。これに基づいて運営しないといけない。そういう観点からしますと、現在の日本銀行の政策は適切であると考えています。いずれにせよ、現状では金融緩和の継続が必要であると考えています」

「金融緩和の継続が必要」と言い切った植田氏。1998年から2005年まで日銀の審議委員を務め、1999年の“ゼロ金利政策”や2001年の“量的緩和政策”の導入を理論面で支えました。

現在は共立女子大学の教授を務めていて、学者からの起用は戦後初です。

植田和男氏
「学者でずっときましたので、色々な判断は論理的にするということと、説明はわかりやすくするということが重要かと思います」

金融政策はどうなるのか。元日銀審議委員でエコノミストの木内氏は…。

野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
「(植田氏は)決して金融緩和全体に否定的ではないが、ただ黒田総裁の大幅な金融緩和については、やや否定的な感じなんだと思います。方向としては、政策は修正されていくということだと思いますし、金融機関、金融市場への悪影響が出ないよう慎重にやっていくのが日銀の伝統なので、その伝統に沿って、混乱を起こさないように慎重に進められていくと」

ちなみに、植田氏の人柄は…

木内登英氏
「穏やかな人ですね。あまり笑わないという感じはしますけども、物静かで穏やかで紳士。そういうふうな印象ですかね」

――学生から好かれる人柄?

木内登英氏
「そうだと思います。東大の経済学部で植田ゼミの人が日銀に多く入ってきた。過去十何年か」

このサプライズ人事に、マーケットも反応。円相場は一時、急激な円高となりましたが、その後、植田氏の発言を受けて再び円安に…。

10日夜、岸田総理は…

岸田総理
「日銀総裁・副総裁の人事については14日の国会への提示に向けて今調整中」