ラピダスは2022年8月、政府からの補助も得て、そうそうたる企業が出資してできた。IBMから技術供与を受け、2027年までに2ナノの最先端の半導体を作りたいという。

一言で半導体産業と言っても幅が広い。今やろうとしているのはロジック半導体で、メモリやその他の半導体もある。半導体を使うユーザーもあれば、部材や素材を提供する産業、設計する事業者、そして東氏がいた東京エレクトロンのような製造装置メーカーなどの広いエリアをカバーしている。
ーーこの中で日本はロジック半導体が弱かった。
ラピダス 東哲郎会長:
そうですね。シェアがずっと落ちていったということがあるのですが、その中でロジック半導体の先端部分を放棄してしまって、輸入に頼るという形になったので、その辺が非常に弱い。
ーー今日本はTSMCやサムスンから輸入しているが、半導体産業にとってロジック半導体の製造拠点を持つということは大事なのか?
ラピダス 東哲郎会長:
人間で言えば頭脳に当たるわけで、そこがやはり新しい産業を創出していくという意味でロジック半導体は非常に重要な役割を持っています。
ーーそれほど重要なのか。
ラピダス 東哲郎会長:
極めて重要で、これからのデジタル社会、デジタル産業が全産業に広がっていくところで半導体がそこの基盤技術ですから、基盤技術が脆弱だと日本の産業社会が脆弱なものになるということになります。今やらないと、これは手遅れになると思います。
ーーロジック部分を日本は放棄した状態になっていたということだが、追いつけるとしたらもう今が最後のチャンスか。
ラピダス 東哲郎会長:
私はそう思っています。2020年代後半から30年代というのは、デジタル社会が世界で広がっていくフェーズで、いろいろ開発を加えていくとやはり3年から5年かかってしまうわけです。そういう意味ではここでやらないと後が大変な話になるという危機感を持っています。