アメリカ上空に現れた“中国の気球”が、両国間の非難の応酬に発展しています。
アメリカは「偵察用だ」として気球を撃墜、対する中国は「無責任なやり方だ」とアメリカを強く批判しました。
冷え込む米中関係の溝は、どこまで深まっていくのでしょうか?

アメリカ「偵察用」 中国「気象用」 気球の撃墜巡り非難の応酬

6日、中国・外務省の報道官はアメリカなどで確認された気球について、改めて「民間のものだ」と強調した上で・・・

中国外務省 毛寧 報道官
「アメリカ側が誇張して騒ぎ立て、武力で襲撃したことは受け入れられない無責任なやり方だ」

さらに報道官は「双方、特にアメリカ側は冷静かつプロフェッショナルに非武力の方式で適切に対処すべきだ」と非難しました。

非難の発端となったのは、アメリカ南東部・サウスカロライナ州の沖合の上空に浮かぶ白い物体。そこへ航空機のものとみられる航跡が近づいていきます。

撮影者
「飛行機が撃ち落とした!」

4日、気球が“撃墜”されたとみられる瞬間を複数の人が撮影していました。アメリカ国防総省は5日、落下した残骸の回収作業を進めていると明らかにしています。

「気象観測用の気球が長時間飛び続けることは考えにくい」日本の気象観測気球との違い

6日の中国共産党系国際紙の『環球時報』。一面はアメリカ上空で撃墜された中国の気球についてです。
専門家のコメントを引用する形で、「武力を行使したことは明らかに限度を超えている。中国側は賠償を主張していい」などと伝えています。

この気球について、中国政府は「気象などの研究用」としていますが・・・

日本で使用されている気象観測用の気球は、空に放出してから約1時間半で高度30キロに達します。上空は気圧が低いことから、天然ゴムで出来た気球の直径は8メートル弱まで膨らみ、破裂してしまいます。

一方、アメリカメディアによりますと、今回の中国の気球はバス3台分の大きさで中国からアラスカ州のアリューシャン列島へ。カナダ北西部を通り、再びアメリカ本土を横断し海へ出たところで撃墜されました。
気象用の気球などを製造する気球製作所の担当者は・・・

「気象観測用の気球が長時間飛び続けることは普通考えにくく、見る限り塩化ビニール製ではないか」