NATOの東方拡大

しかし、ソ連が崩壊すると、ワルシャワ条約機構はなくなり、民主化された東欧や旧ソ連諸国など14の国が雪崩を打ってNATOに加盟していきました。現在では、加盟国は30ヶ国、兵力はおよそ331万人に上ります。NATO軍の主な軍事行動としては、1990年代後半、旧ユーゴスラビアを巡る紛争での空爆や、2011年、カダフィ政権のリビアに対する空爆があります。
ロシアとNATO

こうしたNATO拡大に不満を募らせたのがロシアのプーチン大統領です。ウクライナがNATOに接近したこともあり、そうした状況を口実にウクライナ侵攻へと踏み切りました。そして今、ロシアの脅威を前に、新たにスウェーデンとフィンランドもNATOへの加盟を申請。プーチン大統領をさらにいら立たせています。NATO加盟国からはウクライナに対し戦車など攻撃力の高い兵器の供与も決まり、ロシアとの緊張は高まるばかり。
一方で、NATOのストルテンベルグ事務総長は、「ロシアと対決すれば待っているのは破滅だ」と明言。アメリカのバイデン大統領も、「ロシアとNATOの間の戦争は求めない」として、直接の衝突を避ける難しいかじ取りを迫られています。
NATOトップ、日韓歴訪のねらい

こうした中で、NATOトップの日韓歴訪には、どんな狙いがあるのでしょうか。「ロシアに接近を強める中国も見据えた動きだ」と指摘するのは、安全保障問題に詳しい小谷哲男(明海大学)教授です。「中国は、サイバー攻撃などでも欧米諸国の大きな脅威となっていて、NATO軍だけでは対応が難しいため、日韓と連携を強めて、中国をけん制したい」思惑があるといいます。冷戦のような枠組みが、再びよみがえりつつあるのでしょうか。
(「サンデーモーニング」2023年2月5日放送より)














