近年、魚の漁獲量が減る中、静岡県伊東市では、伝統ある「定置網漁」に最新の技術を組み合わせて、「魚を取りすぎない未来型漁業」を目指しています。資源を守り、魚を取り続ける「スマート漁業」です。
朝5時、船が向かったのは、静岡県伊東市の富戸港の沖合800mのところにある定置網です。「よいと」の掛け声とともに引き上げた網には、スルメイカやイワシなど、伊豆の東海岸に生息する数多くの魚の姿がありました。
150年の歴史がある定置網漁。なるべく稚魚を取らないように工夫された持続可能なSDGsの漁業です。定置網は、「垣網」と呼ばれる壁のような網で誘導し、魚を誘い込みます。網の目を徐々に小さくして、最終的に「第二箱網」と呼ばれる部分に入ってきた魚だけを水揚げする仕組みです。
<城ケ崎海岸富戸定置網 秋元正樹漁労長>
「こんなに、網の目の大きさが大きいんですね。入った小さい魚も出入り自由な網になってますから、出たり入ったりしてます。自然にやさしくすべてを獲りきらないという感じですね。資源なくなっちゃうとよくないので、資源管理のためにも、出入り自由なほうがいいと思います」
伊豆東海岸の定置網漁の歴史は古く、始まりは江戸時代といわれています。当時の文献にも、網の目を小さくしていく、魚を取りすぎない工夫が記されていて、その漁法が、いまでも息づいています。
水揚げしても型が小さい場合は、その場で海に返します。水揚げする魚は、定置網に誘い込んだ魚全体の10%ほどです。守り続けてきた定置網漁。さらに持続可能なものにしていくために、新たな技術が取り入れられました。
<城ケ崎海岸富戸定置網 日吉直人代表>
「網の中に魚探があって、ipadやスマホで見られるという。いま現在の魚の様子です。上にちょっと映ってるのが小型マグロですね。この辺がイカだと思います」
導入したのは、魚群探知機。網にどれぐらいの魚が入っているか、可視化できるようにしました。
<城ケ崎海岸富戸定置網 日吉直人代表>
「網の中からどれだけ魚が出入りしてるかというのが、いままでは勘でしかなかったけど、これだとどれくらい網から出てるか、どれだけ網の中に残っているか、というのが数字的というか画像で分かるようになりました」
魚の量に合わせた船に乗せる氷の量の調節や、相場を見ながら出荷調整も可能になり、操業が効率化しました。さらに…
<城ケ崎海岸富戸定置網 日吉直人代表>
「これが沖に浮きます。水中カメラです」
3月からは、静岡県などと共同で水中カメラを定置網に入れる実証実験を行う予定です。
<城ケ崎海岸富戸定置網 日吉直人代表>
「ipadの画像とリンクすれば、ある程度のことがわかりますね。それが資源管理に結び付くと思います。これを“スマート漁業”っていうらしい」
ここ数年、漁獲量が変化し魚が獲れる時期もずれ、海の環境は変わりつつあります。
<城ケ崎海岸富戸定置網 秋元正樹漁労長>
「取りすぎず、魚価を高めながら、調整しながら、出荷調整をしてうまい具合に出荷したいと思います」
海と共存してきた知恵と新しい技術の融合は、漁業を守っていくための道しるべとなりそうです。
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