新型コロナウイルスの流行を下水のウイルス量から把握しようという研究が高知大学で進められています。
研究を進めているのは高知大学の井原賢准教授です。井原准教授は、高知県、高知市と協力し、去年7月から、高知市にある3つの下水処理場をメインに週2回から3回、「浄化処理前の下水」を採取。下水に含まれる新型コロナウイルスをPCR検査で測定し、その濃度を調べています。国が全国の下水処理場で実証実験を行っていて、井原准教授の研究もその一環です。
感染者の唾液や便などにもウイルスが含まれるため、「浄化処理前の下水」のウイルス量を調査することで地域ごとにどの程度感染が広がっているかを把握できるといいます。
(高知大学農林海洋学部 井原賢 准教授)
「第7波と第8波と呼ばれる時期で感染者が急激に増えてくる時期、その時には下水中の新型コロナウイルスの濃度も増えてくるというのが見えてますし、感染者が少なくなってくると下水中のウイルス濃度も下がってくるという傾向が見えてます。下水中のウイルスを調べると感染者が増えているのか、減っているのかおおよそ把握できるところまで我々の調査でわかってきています」
実際、去年9月には1リットル当たり1000未満のウイルス量でしたが、第8波に入った12月には1リットル当たり数千から数万個のウイルスが検出されたといいます。
今後、コロナが5類に移行し、「定点把握」になった場合にも下水の調査が流行の全体像の把握につながるといいます。
(高知大学農林海洋学部 井原賢 准教授)
「高知県、高知市においては今までの調査で新規の感染者数と下水のウイルス濃度に相関があることまではわかっていますので、全数把握がほんとになくなって定点観測になって感染者の全体像がわからないとなった時には下水を調べるとおおよその感染状況が把握できるというのは技術的には可能」
国の実証実験は1月末で終わりますが、井原准教授のグループでは今後も調査を続け、検査方法の改善などにつなげたいとしています。