8カ月前、末期がんを宣告されて

中国との国際交流は、思わぬところから始まりました。岡山市の友好都市、中国・洛陽市です。佐藤さんの絵が現地の人たちの目にとまり、「駅舎の風景」をはじめ日本を紹介する絵画展を開く機会に恵まれました。

また、洛陽の風景をスケッチして日本でも紹介するなど、絵画を通じた交流が始まったのです。そしてその人柄や絵の才能が認められ、洛陽の大学で多く若者たちに絵を教えてきました。

(佐藤安男さん)「どうぞどうぞ」

洛陽の大学生だった方 世良さんは、佐藤さんに出会ったことがきっかけで、日本に留学してきました。

(方 世良さん)「先生が洛陽に来ることを、洛陽のみんなが楽しみにしています。先生はすごく人気があります」

しかし8カ月前、佐藤さんは末期がんと診断されました。新型コロナの影響もあり、もう洛陽に行くことができなくなってしまったのです。

(佐藤安男さん)「もう一度洛陽市に行きたい、行きたいけれど、それはこの体が。。。もう洛陽に行く体力は無い。残念。代わりに誰かに行ってもらって思いをつないでもらいたい」

仲間たちからのサプライズ

そんな佐藤さんの思いを知った洛陽の人たちが「佐藤さんを元気づけたい」と、オンラインで会う機会を作りました。

(洛陽の仲間たち)「こんにちは!これ、中国の月餅です」

絵画をきっかけに、佐藤さんと親しくなった仲間たちです。思わぬプレゼントを用意してくれていました。

(洛陽の仲間たち)「洛陽市名誉市民の称号の書類です。正式に提出します」

佐藤さんを、洛陽市の「名誉市民」になれるよう申請してくれていたのです。

(洛陽の仲間たち)「たくさんの洛陽の人が、佐藤先生のことを『自分の家族』だと言っています。芸術交流、そして文化の交流は、佐藤先生から大きな力をもらいました」

(佐藤安男さん)「何とか頑張ってもう一度だけ、洛陽に行きたい」

(洛陽の仲間たち)「奇跡が起きることを信じています。またコロナが終息したらみんなで岡山に会いに行きます」