日本の治水技術を学ぶために高知を訪れているネパールの政府関係者が、26日、いの町で川に設置された「蛇籠」を視察しました。この「蛇籠」をネパール国内の治水にも役立てる取り組みが進んでいます。

高知を訪れているのは、ネパール中央政府の関係者ら6人です。一行は25日、物部川周辺の国が管理する施設などを見学していて、26日はいの町八田の奥田川(を訪れました。ここで見学するのは石を詰めたカゴ=「蛇籠(じゃかご)」。日本に400年以上前から伝わる、斜面を補強する技術です。

ネパールでは毎年河川の氾濫など水害が発生していますが、治水対策が十分ではありません。そこで、高知大学の原忠教授らのチームやJICAなどが協力し、比較的安価な治水設備である「蛇籠」をネパールに普及させる取り組みを行っています。今回、“本場”の「蛇籠」を目の当たりにしたネパールの政府関係者たち。熱心に説明を聞きます。


「石を入れた時に、しっかりした金網だと絡みにくいので、施工がしやすい。溶接した金網だと石が入れやすい」

(高知大学 原忠 教授)
「こういう『溶接網』を使っている国はない。ほとんど。これは日本が独自に開発していってできたもの」

流域で度々浸水被害が起きている奥田川では、「蛇籠」を設置する工事が進められていて、川の近くの資材置き場で「蛇籠」を組み立てています。一行は「蛇籠」を組み立てる現場も視察し、詳しい構造や、設計方法、また必要な費用などを聞き取っていました。

(ネパール中央政府防災部 サンジブ・バラル 局長)
「ネパールと日本には似たような地形の河川があるので、抱える問題も似ている。しかし、建設する際の資材、条件、設計などが異なる。これまで似たような河川工事・改修を行ってきたが、実装設計が異なる。だから、こうした点も比較してみた」

原教授らが進めるプロジェクトでは、ネパールの河川で現地住民と協力した「蛇籠」の設置がすでに始まっていて、今後はネパール政府とも連携しネパール全土に「蛇籠」を普及させていく方針です。