「食べられる側の戦略」
(東洋産業 大野竜徳さん)
「カゲロウの成虫は基本的に餌をとりません。だからといって、他の生き物に襲われないわけではありません。
むしろ、魚や鳥、コウモリなど、さまざまな生き物にとって重要な餌になります。ひらひらと大きな翅であまり器用に飛べない、目立つその姿では、一匹ずつ羽化していれば、待ち構えている捕食者に順番に食べられてしまいます。
ところが、何千、何万という数で一気に羽化すれば、いくら食べられても、すべてを食べ尽くすことは難しくなります。いくら大食い自慢の人でも、一口でテーブルの端から端まで飲み込むことはできませんよね。
目の前のものを順番に食べるしかありません。カゲロウも同じように、大量に発生することで、捕食者が処理しきれないほどの個体を一気に出現させ、その中から次の世代を残す個体が生き残る可能性を高めていると考えられます。
これは捕食者飽和と呼ばれる考え方です。
私たちから見ると、うわ!虫が大量にいる!…となりますが、カゲロウ側からすると、みんなで一斉に行けば、誰かは生き残る!…という、かなり大胆かつ合理的な作戦なのです」














