去年11月、大阪府柏原市の高速道路で炎上した車内から男性の遺体が見つかった事件で、殺人や放火などの罪に問われた部下の男に対し、大阪地裁は今月18日、拘禁刑22年の判決を言い渡しました。

■6つの罪に問われた「整骨院の院長」起訴内容認める 検察「交通事故死したように偽装」と主張

判決によりますと、奈良県大和高田市の会社員・浜田達也被告(38)は、去年11月、整骨院経営で雇用主だった定井敏弘さん(当時60)をナイフのようなもので突き刺して殺害したあと、大阪府柏原市の西名阪自動車道で、遺体を乗せた車にガソリンをまいて火をつけました。また、院長を務めていた整骨院で、売上金163万円の着服をしていました。

問われた罪は、殺人・窃盗・建造物等以外放火・死体遺棄・死体損壊・業務上横領と6つに上りました。

これまでの裁判員裁判で、浜田被告は起訴内容を認めていました。

検察側は冒頭陳述で、「数年にわたって会社の売上金を着服し、定井さんに発覚することをおそれて殺害し、交通事故死したように偽装することを計画・準備した」「定井さんを刺殺した後、証拠隠滅の目的で、車をガードレールに衝突させ、ガソリンをまいた車に火を放ち、遺体ごと車を燃やした。浜田被告だけが命からがら脱出できたように偽装した」などと指摘していました。

■被告人質問で語った経緯「ウソでうまく転がされただけ」 一方で、遺族に謝罪の言葉も

これに対し浜田被告は被告人質問で、「定井さんには恩を感じていたが、うまく利用されただけだと気づき、自分が死ぬくらいなら殺した方がいいと思った」などとして、殺害に至った経緯を明らかにしました。

浜田被告は「定井さんのような経営者になりたかった」と尊敬の念を持っていた一方で、多額の借金を背負わされたと主張していて、”理不尽な給料の減額”や”保険診療の水増し請求を常習的に指示されていた”ことなど、定井さんの経営姿勢への不満も原因だったと主張していました。

一方で、遺族に対しては「何度謝っても済む話ではない。申し訳なかった」と謝罪の言葉を口にしました。

■検察「単なる責任転嫁にすぎない」拘禁刑25年求刑 弁護側「経営への不満も一因」拘禁刑18年が相当と主張

今月11日に行われた裁判の論告で検察側は、「違法な賭け事に自ら興じたり、多額の借金を抱えたりしたのは、自らの経営判断の誤りによるもので、定井さんに落ち度はなく、単なる責任転嫁に過ぎない」と厳しく非難しました。

そのうえで「着服金の発覚と返金を免れ、利益を確保するという自己保身や私利私欲のために殺害したことは明らか」と断じ、「車から脱出するための道具を購入していたことや、車外から火を放ちやけどを負っていないことから、生き続ける意思があったことは明白」などと指摘し、拘禁刑25年を求刑。

一方、弁護側は最終弁論で、罪を認めて反省しているとしたうえで、「定井さんの”経営に対する姿勢への不満”も一因だった」とし、拘禁刑18年が相当だと主張していました。

■「計画性が高く、かなり悪質で刑事責任は重い」 裁判長「心を入れ替えて更生の道を」と説諭

18日の判決で大阪地裁は「横領がばれるのを恐れて犯行に及び、殺人のみならず、更なる犯行を犯してまで罪を逃れようとした。計画性が高く、かなり悪質で刑事責任は重い」として、浜田被告に拘禁刑22年を言い渡しました。

裁判長から「取り返しのつかないことだと認識していることと思いますが、たくさんの人を苦しめた責任は相当重い。罪の重さを認識して心を入れ替えて更生の道を歩むこと」と諭された浜田被告は「はい」と答えて法廷を後にしました。