2009年の判決から17年…賠償金の支払いは一切なく

この事件が投げかけた問いは、個人の問題にとどまりませんでした。

現在(2026年)、殺人罪など法定刑の上限が死刑であるものについては、時効が廃止されています。

消息は明らかになっていませんが、今年90歳になる男から千佳子さんの遺族への賠償金の支払いは一切ありません。

千佳子さんの弟、憲さん(75)(2026年9月 北海道小樽市)▶この記事を最初から読むこの記事の写真を見る

千佳子さんの弟、石川憲さん(75)は、男に対する憎しみと時効という法律の前に置き去りにされた無念を押し殺しながら、千佳子さんも過ごした小樽の実家で暮らしています。

「行方不明になっていたころは、姉さんがこの家に帰ってきた夢を何回も見た。『あ、姉さんが帰って来た』と喜び、目を覚まして現実に引き戻された。遺体が見つかって墓に納骨してからは、そんな夢を見なくなった。姉さんも自宅に戻って来たかったんだろうね」

男の実家がある小樽の街で、今も、男の親族とみられる人物を街で見かけることもあると言い、そのたびに複雑な思いが胸にたまると明かします。

事件について憲さんは「時効撤廃について社会の論議を深めることになった」と振り返り、民事裁判で男に賠償責任を認め「逃げ得は許さない」ことを示してくれた判決が、唯一の救いだと語っています。

石川千佳子さん▶この記事を最初から読むこの記事の写真を見る

そして来年は、千佳子さんの50回忌を親族で執り行う予定です。

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