世界最古の映画祭としても知られる、ベネチア国際映画祭。83回目の開催となった今年、初めてAIで作られた映画が公式上映されました。映画は、誰でも作れる時代になるのでしょうか。

記者
「こちらでは生成AIで作られた映画が、次々と上映されています。もはや人が作ったものと見分けることができないです」

イタリアのベネチアで1日だけ開催された、「AIフィルムフェスティバル」。作品は全てAIが作った短編映画で、世界76か国から3000本以上が応募しファイナルに残った10作品が上映されました。

最優秀作品に選ばれたのは、カナダ人の男性が1人で制作した8分間の映画で、映像は100%生成AIで作られています。

受賞した ロバート・ゴーデット監督
「生成と編集などで2週間かかりました」

長年、動画編集に携わってきたロバートさんですが、誰でも映画監督になれる可能性があると話します。

ロバート・ゴーデット監督
「AIは創作を一部の人だけのものから、誰もが挑めるものへと変えつつある。従来必要とされていた、莫大な資金やコネクションがなくても作れるようになった」

そして、今月2日から始まった第83回ベネチア国際映画祭。「金獅子賞」を競う部門に是枝裕和監督と塚本晋也監督の作品がノミネートされていて、期待が高まっています。伝統的な映画の祭典が熱気を帯びる中…。

記者
「生成AIを活用して映画を作った監督らが、レッドカーペットを歩いています」

今年、映画祭の長い歴史の中で初めてAIを活用した作品の参加が認められ、1作品が公式プログラムに選出されたのです。

イタリアのファッションブランド「ディーゼル」の創業者レンツォ・ロッソ氏の人生を描いた90分のドキュメンタリー映画。しかし、この作品、本人への撮影は一切行わず、過去を振り返る映像も含めてほぼ全編がAIによって生成されました。映画を見た人は…。

映画関係者
「ドキュメンタリー映画なら、なぜAIを使う必要があるのか。嘘っぽく思えてしまい、納得がいかないです」
映画プロデューサー
「現状のAIは対話シーンなどの生成で、まだ数秒程度しかもたないレベルだと思う」

現地では賛否が渦巻く中、映画を作った人たちは…。

AI映画のプロデューサー
「従来のCGで幼少期や青年期のレンツォが話す映像を作ることは、到底できませんでした。AIでなければ実現不可能な表現が、確かに存在したのです」

「ディーゼル」創業者 レンツォ・ロッソ氏
「彼らが私に『どう?これ自分に見える?』 と聞いてきて、私の役目は『これは私だ』、『これは私じゃない』と言うだけでした」

映画祭側は、CGの代わりにAIを使う制作者が増えているとして、今後、「映画界に大きな影響を与える」と話しています。