気候変動で“冬を越せる鹿”が急増 8年で5割増のデータも

異常性を覚えたのは、整備士の川﨑さんだけではない。

南アルプスの国立公園を保護する関東環境局南アルプス自然保護官事務所の自然保護官の結城貴志さんも、鹿の大群が山肌を覆う動画を見て、「あそこまで鹿が居るとは想像を超えていた」という。

昨今、気候変動で鹿が越冬できるようになり、結果個体数が急増している可能性があると感じていたが、予想を超える鹿の大群を目の当たりにし、鹿による被害が増えることが懸念されたという。

事実、長野県の調べによると2016年度末に15万頭だった鹿が2024年度末には22万頭と8年で5割近く増えている。(長野県第二種特定鳥獣管理計画)

現在、結城さんの重要な仕事の一つが、増えていく鹿から国立公園の高山植物を守るために、鹿よけの防鹿柵(ぼうろくさく)を設置することである。

高山植物の生育地に防鹿柵を設置する結城貴志さん(南アルプス荒川岳)

雪解けして鹿がやって来る前に、資材を担いで山に登り、支柱を立て柵を張る。そして積雪前に柵を下ろす。

作業は2000メートルを超える高山で2、3泊、山小屋に宿泊しながら行う。高山で防鹿柵を設置して回るのは、体力面でも費用面でも負担の大きい大変な作業ではあるが、地道に1つ1つ取り組んでいる。

こうした作業を続けていきながら、国立公園の中で現状手つかずの場所やアクセスが難しいエリアを今後どう守っていくかが自分たちに課せられた課題だという。