専門家が指摘する「あり得ない」違法性と過去の闇
一連の事態に、外国人労働問題の専門家たちは強い衝撃と危機感を表明している。北海道農業における外国人受け入れの実態を調査してきた北海学園大学経済学部の宮入隆教授は、証拠の録音・動画を確認し、「率直に言って、まずあり得ない。今の時代に露骨なやり方で外国人を縛り付けて働かせるのは、昔の先祖返りした亡霊が現れたようなイメージだ」と絶句した。
宮入教授は、相手に恐怖心を植え付けて逃げられないようにする手法を「一番卑劣なやり方」と断じ、在留カードやパスポートを取り上げると脅す行為が、入管法上の問題であり、登録支援機関としての認定取り消しに直結すると指摘。
さらに「在留カードを取り上げることで移動の自由を奪い、一方で『言うことを聞かないならミャンマーに帰す』と脅しをかけることで、相手を心理的に混乱させ、言うことを聞かせるしかない状況を作り出している」と、その巧妙で悪質な支配構造を分析した。
また、鍵が壊れ炊飯器にカビが生えていたという劣悪な寮環境についても、「現在の外国人雇用において生活環境の整備は基本中の基本であり、外国人だから劣悪な環境でもいいという考えはあり得ない」と批判した。
ミャンマー人らの聞き取りを行った小野寺信勝弁護士も、「20年前のひどい例でも稀なほど、極めて前近代的な取り扱いだ」と指摘。暴力行為は傷害や暴行といった刑事事件に発展するおそれがあり、民事においても未払い給料の支払いや、人権侵害に対する賠償責任が問われる可能性が高いとの見解を示した。
実は、この親子が運営する別の法人は、かつて技能実習生を受け入れていたものの、2022年3月に「技能実習生の人権を著しく侵害する行為を行った」として、入国管理局と厚生労働省から技能実習計画の認定取り消しを受けていたことが判明している。そして、その取り消しからわずか47日後に、現在の農業法人を新たに設立し、特定技能外国人の受け入れを再開していた。














