食品は、いちばん儲からない商品
ここで不思議なのは、食品の「儲けの薄さ」です。売った値段から仕入れた値段を引いた、儲けのもとになる部分を「粗利」と言います。大手ドラッグストアの決算資料を見ると、会社ごとに区分は違いますが、食品の粗利率はおおむね15%前後から18%ほど。いっぽうで薬は40%台、化粧品も30%台半ばです。
ざっくり計算すると、100円の納豆を売っても、儲けのもとは15円ほど。同じ100円分でも、薬なら40円以上が残ります。3倍近い差です。しかも食品は、期限の管理があって、重くてかさばって、補充の手間もかかります。普通のお店なら、いちばん儲かる商品をいちばん目立つ場所に置くはずです。ところがいまのドラッグストアは、いちばん儲からない食品を、入り口すぐの良い場所にどーんと並べています。
100年前の教科書「ロスリーダー」
この謎を解くカギは、100年前のアメリカにあります。1922年に出たチェーンストアの経営書に、有名な商品を原価すれすれで売ってお客さんを呼び、ほかの商品で儲ける手法が「ロスリーダー」という名前で載っています。日本語にすると「赤字覚悟の客寄せ商品」。興味深いことに、そこで例に挙がっていたのは、当時のアメリカの大手ドラッグストアチェーン、リゲットでした。
お客さんは、納豆や卵の値段をよく覚えています。そこをぐっと安くしておけば、「あのお店は安い」という印象ができて、毎日来てくれます。そして来たついでに、洗剤や化粧品や薬といった、儲けの厚い商品も買っていきます。安い食品は、いわば呼び水です。スーパーの卵の特売でおなじみのこの手法、100年前の教科書で例に挙がっていたのは、じつはドラッグストアだったのです。














