人々を脅かす新たな兵器 ドローン攻撃が残す“見えない傷”

ドローンという新たな兵器の登場は、人々の体や心を新たな脅威にさらしている。

訪ねたのは、ウクライナの国立リハビリテーションセンター。現在、戦闘で心身に傷を負った兵士や民間人300人以上が入院・通院している。

この施設に通う兵士のミコラさん(33)は、神経を損傷した左足の治療とPTSD(心的外傷後ストレス障害)のリハビリを続けている。

激戦地の南部ザポリージャ州で前線に配置されたが、2024年3月にドローン攻撃を受けて負傷した。

――何が起きた?

ウクライナ兵 ミコラさん

「私が走って移動していたとき、敵のドローンが追いかけてきて、左足から70センチほどのところで爆発したのです」

左足に重傷を負い、捕虜となったミコラさん。治療は一切受けられなかった。2025年6月、捕虜交換で解放された後に、医師からPTSDと診断された。

原因のひとつにドローンの影響があると話す。

ミコラさん
「ウクライナに戻ってから半年ほどは(ドローンが襲ってくるのではという)緊張が消えず、様々な音に反応しては、(ドローンではないかと)周りを確認していた」

――どんな感情になる?
「攻撃的になる。腹が立って、“どこだ、なぜドローンが飛んでいるんだ”、“誰が許可したんだ”と反応してしまうんです」

こうした精神疾患について、薬物療法で治療できるのは2割程度。残りの8割は、心理療法や最新の神経科学的治療が必要になるという。

このセンターで、ドローン攻撃などの要因でPTSDとなった患者たちに行われるリハビリのひとつが「ニューロフィードバック療法」。脳波をリアルタイムで測定しながら、脳の働きを整えるトレーニングだ。

治療開始前の男性の脳の活動状態のマップ。緑は正常で健康的な状態、黄色や赤は脳活動が過剰になっていることを示す。

トレーニングでは、黄色や赤を減らし、緑の部分を増やしていくことを目指す。

画面に意識を集中させ、黒い枠の外側に緑の円を安定的に出すことが望ましいが、リハビリを受けている男性は、黄色の円が現れることが多い。集中力が途切れた状態になるのだ。

――疲れましたか?

治療を受けている男性

「ええ、それなりに。集中するのはとても難しい」

爆風の衝撃などでダメージを受けた脳の神経回路を構築し直し、不安やストレスの軽減につながると期待されている。