ジャンルが分からないボーダーレスなドラマ
生方さんの作品は、日常のささいな出会いやありふれた会話、リアルな人間関係、繊細な心の内などを描き、見る者の心を揺さぶる。これまでの作品でも、過度なドラマチック要素や大きな陰謀といったものは取り入れていなかった。そんな中、今作のテーマの一つとして提示されたのが、“不倫”だったという。
「最初に参考として挙げてくださった作品が、結構ど真ん中ストレートな不倫を扱ったドラマだったんです。それは書けないなと思って。でも同時に、いただいたテーマに応えて脚本家としての能力を培っていかないと、みたいな葛藤がありました」
それならば、どのような切り口なら書けそうか話し合っていく中で、「不倫をしたと思われる当事者が不在なら書けるのではないか」となった。次第に物語の輪郭が見えてくるが、これまで書いたことがない初めてのジャンルに不安もあったそう。
「これなら書けるかなと糸口を探していく作業は、すごく勉強になりました。おそらく、いわゆる“不倫もの”というジャンルではなく、“不倫なのか?”みたいなことを描いた、そんなドラマになったと思います」
一般的に不倫を題材にしたドラマというと、愛憎劇や復讐劇、サスペンスが定番だ。しかし、本作はたしかにこれらには当てはまらない。園田樹生を演じる中島歩さんも「ラブストーリー、サスペンス、ミステリーといったジャンルにははめ込まないで見ていただけたら。全部裏切っていきますから」とコメントしているが、生方さん自身も「ジャンルがよく分からない、それがいいことかは分からないですけど。そういうものにたどり着けたのは、勉強にもなりましたし、いい経験でした」と語る。














