黒川開拓団の女性が証言。映画「黒川の女たち」

企画展の開催期間中の7月25日には映画「黒川の女たち」の上映と、監督した松原文枝さんのトークショーがありました。「黒川の女たち」は満州の陶頼昭という地区に開拓民として渡った岐阜県・旧黒川村の黒川開拓団の女性たちが、戦後、大陸に残って生きるためにソ連軍兵士の接待をした痛々しい経験を「なかったことにはできない」と証言するドキュメントで、昨年劇場公開され大きな話題になりました。松原監督はトークでこんなふうに話していました。

陶頼昭というところで黒川の開拓団の人たちは開拓をしていたんですけれども、そこに終戦間近にソ連軍が侵攻し、駐留します。開拓民は現地の人から襲撃されることもありまして、黒川開拓団も現地人200名から300名に囲まれて、もう逃げられないんです。その時に、じゃあどうするかと。集団自決をする開拓団もあったんですけど、黒川の人たちは、命を大切にしなきゃいけない、生きて日本に帰ろうと決めます。

でも囲まれてるし、逃げられないんですよ。それでじゃどうするのかっていう中で、ソ連兵に警護と食料の助けを求めたんですね。その見返りに女性たちを性の相手として差し出したのが黒川開拓団なんです。それで、彼女たちは1946年の秋に日本に帰ってきて、守られるどころか、誹謗中傷を受けると。言葉は良くないですけど、汚い、汚れた女だとか言われるんですね。彼女たちは心も痛むし、なかなか言葉にすることができなかったんですけれども、70年近くたって、当事者がご自身の体験を語られたと。それを映画にしたのが「黒川の女たち」です(映画「黒川の女たち」監督・松原文枝さん)

トーク会場は満員になり、立ち見の人たちも引き込まれるように聞いていました。松原監督の話は映画にした黒川開拓団の女性についてでしたが、展示にはそれ以外の女性の性被害に関する証言もあり、終戦前後の大陸での厳しい状況が伝わります。

生き延びるためにやむをえず犠牲になって、そのことで帰国してからも差別された女性たちがいた事実、これはとてもひどい出来事です。企画展に来ていたお客さんに、展示の感想を聞きました。

『今までだと戦争っていうと、男性に視点が当たったところの話だったりとかが多かったりですが、今回女性に視点を当ててっていうところがすごく感慨深いなと思いました』(70代女性)

『家族にも言えなかった人たちもいるでしょうし、またそれを後世の人たちに伝えたいっていう思いで証言された方たちに敬服いたします』(70代男性)

『大学で歴史学の勉強をしてるんですけど、資料館で戦争に関する資料を見て、感じたことをレポートにする課題で来ました。こういう過去があったんだ、自分たちが恵まれた時代にいるのかを噛み締めることが大切だと感じました』(10代男性)