トラフィック至上主義と日本のスタンス
こうした問題の背景には、日本と同様に、アクセス数やページビュー数によって利益を得ようとする運営側の狙いがあります。「トラフィック至上主義」と呼ばれる、コンピューターが情報を整理し、画面上に表示される動画の順番や内容を自動で決める手法が広く普及しています。しかし、そのアルゴリズムに悪意が介在すると、いわゆる「ページビュー稼ぎ」のために青少年を有害サイトへ導くことになってしまいます。
ここで一つの数字を紹介しましょう。青少年へのネット規制を主導した中国国家インターネット情報弁公室が公表した最新の報告書「国家情報化発展報告(2025年)」によると、2025年の中国デジタル産業の売上高は日本円で約900兆円に達し、前年比8.8%も増加しました。これほど「儲かる産業」であるからこそ、危険も潜んでいるわけです。
スマホやパソコンに潜む「青少年への害毒」という社会問題は、中国に限らず日本でも同じです。では、日本の未成年のネット規制へのスタンスはどうでしょうか。
総務省は今年6月、未成年の適切なSNS利用に向けた報告書案をまとめました。安心・安全に利用できる環境整備の重要性、具体的にはスマートフォンの購入時に店舗での年齢確認を徹底することや、端末のフィルタリング機能強化などを唱える一方で、「諸外国のように年齢で一律に利用を制限することは望ましくない」としています。
人々が生活していくうえでインターネットが当たり前の存在になった今、どの程度の規制が正解かを見極めるのは非常に困難です。中国にも我々と同じように、子や孫の生育を心配する親や祖父母がいます。自分たちの世代では存在しなかった、あるいは影響度が限られていたネットの世界。様々な難問を抱える日中関係ですが、そう考えると、庶民レベルで同じように抱く悩みも少なくないのです。
◎飯田和郎(いいだ・かずお)

1960年生まれ。毎日新聞社で記者生活をスタートし佐賀、福岡両県での勤務を経て外信部へ。北京に計2回7年間、台北に3年間、特派員として駐在した。RKB毎日放送移籍後は報道局長、解説委員長などを歴任した。2025年4月から福岡女子大学副理事長を務める。














