アリをだます? アリとアブラムシの意外な関係
──もうひとつの役割とは?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「それはアリをごまかすこと。
その前に、クサカゲロウとアリ、そしてアブラムシ、これらの関係を簡単に説明しますね。
クサカゲロウのエサになるアブラムシは、植物が光合成をして作り出した甘い成分を多く含んでいる汁を吸って生活しています。
アリは触角でそんなアブラムシの背中をやさしくトントンとたたきます。すると植物の汁をおなか一杯吸ったアブラムシはその刺激で、おなかの中で濃縮し、さらにアミノ酸などの栄養が混ざったねっとりした甘い蜜『甘露』をお尻から出します。
アリはこの甘露が大好き。あまりにもおいしいのか、ときにはアブラムシそのものをくわえて餌として持っていってしてしまうものいます。
しかし、アブラムシを誘拐して持って行ってしまう個体を追いかけてみると、ほかの植物へ運んで置いていくものもいて、運んだ先でアブラムシが増えるのを誘導しているのです。
甘い蜜をアブラムシからもらい、増えすぎたアブラムシを間引き、時にはもっとアブラムシを増やそうとほかの場所へ移動させる。
この行動はまるでアリがアブラムシ牧場を作っているようで、アリは牧場主、アブラムシは乳牛……いや、"甘露牛"でしょうか。
アブラムシは自分で動くのが得意ではなく身を守る力も弱いので、まるでアリの『家畜』のようにして、世話をしてもらっているのです。
時にはアブラムシの卵などを巣に持って帰って冬の間卵を守ったりするもの、ある種のアリは結婚飛行のときに新女王が新居での新生活の準備として結納品のようにアブラムシの仲間のカイガラムシ、その名も『アリノタカラカイガラムシ』を一匹くわえて飛んでいく、というものもいます」














