入院患者の声が届かない、構造的な課題

こうした人権センターは1980年代から全国で設立され、千葉県以外にも10か所以上があります。背景にあるのは日本の精神科医療が抱える構造的な課題です。実は、日本は世界的に見ても精神科病院のベッド数が非常に多く、1年以上の長期入院も多いという特徴があります。

さらに、本人の同意がない「強制入院」や、「隔離・身体拘束」などの行動制限が条件付きで認められている一方、権利擁護の仕組みが乏しいのが現状です。こうした中、患者が本来持っている権利を行使できるようにアドバイスし、支援する機能が大きな意味を持ちます。

池澤さんは第三者が関わる重要性について、こう話します。

話したいことを聞いてくれる人というのが、いまの病院の中ではなかなか用意できないだろうとは思います。それは、別に病院がサボっているということではなく、むしろとても忙しいのです。だから外部の第三者機関が入って、その人の話を聞く時間を作るということは、とても大事なことだと思うんです。(千葉精神医療人権センター代表・池澤直行さん)

精神科医療には「精神科特例」という一般医療とは別の規定があり、看護師や医師の配置基準が一般病床よりも少なく設定されています。そのため、一人ひとりの患者に割く時間や人員が物理的に不足してしまいます。病院側に自分の意見がうまく伝えられないとき、千葉精神医療人権センターのような第三者機関が関わって、話を聞くだけでも患者の大きな支えになるということです。