20~30年先を見据えた「ラストフロンティア」への挑戦
野村:現在は主に海賊版が中心であり、一部でゲームやカードゲームが普及しているというお話でしたが、この盛り上がりは、日本のIPホルダーにとって将来的にビジネスとして成立する余地があると思われますか。
中山:現在は、日本の企業側はその需要をほとんど検知できていない状態です。日本のIPホルダーの多くは、東南アジア市場は台湾の代理店に任せ、インド以西、あるいはアフリカに関しては「どうせ海賊版ばかりだろう」と、公式な展開を行っていません。一部、ヨーロッパ向けのライセンスを持つ企業が、西アフリカなどに波及的に展開している程度です。
日本の企業は、実際に現地のアニメエキスポなどのイベントに足を運び、肌で可能性を実感した上で、現地の意欲的なパートナー企業を見つけてビジネスを開始する、というプロセスを辿ることが多いです。これだけ普及しているという事実を前提に、4大コミコンのどこかに接点を持ち、グローバルにビジネスを展開しているヨーロッパの企業などと連携しながら、20年後、30年後の未来に向けて今から種を蒔いておくことは非常に有意義だと思います。
私はインドで、まさにそのような先行事例を目にしました。2000年代にテレビ朝日が『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』を現地に持ち込んだ結果、2020年代には、これらがインドにおけるキャラクター人気ランキングのベスト3に入るようになりました。子どもの頃に教育や娯楽としてアニメに触れた経験が、20年後に一大市場を形成するのです。
野村:長期的な視野が必要ですね。
中山:そうですね。アフリカはまさに最後の空白地帯であり、ラストフロンティアです。今すぐ利益を回収するというよりは、次の世代、あるいはさらにその次の世代にビジネスを繋ぐために、今から関わっておくべきではないかと考えています。
まずは信頼できるパートナーと共に放送や配信を開始し、海賊版が普及している現状を少しずつ正規版に移行させていく。そしてカードゲームや漫画といった正規品を流通させ、教育分野も含めて少しずつ展開していくというプロセスが大切になるのではないでしょうか。
<聞き手・野村高文>
Podcastプロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。














