静岡県川根本町は近年、深刻な人口減少に悩んでいます。移住者を増やすために、川根本町が始めたのが全国的にも珍しいマッチング事業です。ターゲットは「ひとり親家庭」。お互いの悩みを解消できるかもしれない、画期的な取り組みです。
自然豊かな山あいの町、静岡県川根本町です。町の課題となっているのが人口の減少。毎年200人ほどのペースで減っていて、現在約6,000人。人口に対する65歳以上の割合を示す高齢化率は50%を超えています。そこで、町が期待を寄せるが全国からの移住者です。
<川根本町 秋元伸哉副町長>
「川根本町では、ひとり親家庭の受け入れ自治体として、新生活をスタートできるサポートをワンストップで行っていく」
2022年12月、川根本町は新たな移住促進事業として「マザーポート移住」を開始しました。対象は全国の「ひとり親家庭」です。
<全国ひとり親居住支援機構 秋山怜史代表理事>
「ひとり親家庭、特に母子家庭は、住まいを探すことに大きな困難を抱えている。私たちのアンケートでは、8割以上の方が一般不動産を借りるときに困難を極めた」
ひとり親家庭の住まい探しを支援するNPO法人「全国ひとり親居住支援機構」と連携し、移住希望者が「住まい」と「仕事」を同時に探せるようサイトで情報を提供。町の担当者が移住に関する様々なサポートを行います。
マザーポート移住で、町が「住まい」として提案するのが町営住宅です。家賃が比較的安く、自治体によっては入居が難しい公営住宅ですが、川根本町では、利用者の減少などにより複数の空きがあります。例えば、築約30年の2階建て3LDKの住宅は、家賃が月1万5000円から2万3000円ほどで、ひとり親家庭の経済的負担を抑えます(※入居には条件あり)
<全国ひとり親居住支援機構 秋山怜史代表理事>
「(相談してくる母子家庭の)半分くらいの人が無職で住まい探しをしているので、とても有力なコンテンツになると思っている」
住まいと同時に欠かせないのが仕事です。ひとり親家庭の受け入れに理解のある町内4つの企業が求人を出しています。
求人を出している企業の一つ、「なないろ川根」。町内でデイサービスなどを展開する福祉事業所です。
<なないろ川根 中村博さん>
「現在は、訪問介護員とケアマネージャーの募集をしている。ひとり親ということで、お子さんの行事への参加や、病気や風邪など、急な休みもあると思うが、勤務シフトを柔軟に対応して働きやすい職場にしたいと考えている」
なないろ川根で働く小坂祐里さん。仕事をしながら3人の子どもを育てるシングルマザーの小坂さんは、地元・川根本町のよさを語ります。
<なないろ川根 小坂祐里さん>
「子どもが一人で外に遊びに行くことがあるが、そのときに地域の人が子どもに声をかけてくれたり、学校なども少人数で手厚く、子どもたちを見ていただけるので、(川根本町は)子どもを育てるうえではすごくいいところだと思う」
スタートしたばかりの「マザーポート移住」。町は今後、提供する情報を増やしていきたい考えです。
<川根本町 薗田靖邦町長>
「とにかくここに来てみてよ。来ていただいて、愛していただいて。ここから始めていただくことも、ひとつの人生だと思うので」
働き盛りの世代が少なく人材不足に悩む町と、住まいと職場探しに苦労するひとり親家庭。移住者と町、互いに魅力ある出会いで地域に笑顔が増えることが期待されています。
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