デパートの「顔」で新たな価値観を発信 

 盛岡市のデパートで、百貨店の顔ともいえる「1階フロア」に障害者のアート作品を取り入れたファッションブランドの店が21日、移設オープンしました。「異彩を、放て。」をミッションに事業を展開する岩手発のブランドです。

(リポート)
「化粧品やバッグなど世界的なブランドが軒を連ねるカワトクデパートの1階にきょう移設オープンしたのは、障害者のアート作品をファッションに取り入れているヘラルボニーの常設店舗です」

 ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに障害のある作家のアート作品をネクタイやスカーフに取り入れて販売していて、斬新な色遣いや独創的なデザインが全国で人気を集めています。
 21日、盛岡市のカワトク3階から1階に移設した店舗には、ネクタイやハンカチ、バッグなどと並んで実店舗としては初めてアートクッションとアートがプリントされた布地=アートファブリックがラインナップに加わりました。障害のあるアーティストの作品がファッションだけでなく生活の様々な場面に浸透すればとの願いが込められています。

(ヘラルボニー 松田文登 副社長)
「当たり前のように作品が日常に彩られることで障害のある方への目線が変わっていくとか、当たり前に存在しているんだと。そういうことがこのカワトクから見せられたら嬉しいと思います」

 今回の移設には商品のストーリーを重視する顧客志向の変化を捉えた百貨店側の戦略もあります。

(カワトク営業企画部 木川田宜明さん)
「百貨店の顔と言える1階には数々の有名ブランドショップが並んでいますが、私ども百貨店としても新しい取り組みをどんどんしていかなければいけない時代になっていまして、岩手発の新しい価値観をどんどん発信しているヘラルボニーさんをもっと多くの方に知っていただくために1階に移設になりました」

「障害者」でなく個人の認知を ヘラルボニーが描く未来

商品脇にデザイナーの紹介

 ヘラルボニーのデザインを統括する山田町出身の佐々木春樹さんは、生地の販売を通して作品の様々な楽しみ方を提案したいと考えています。

(ヘラルボニー取締役 佐々木春樹さん)
「持続可能な社会の目的のためにお客様が自分が必要な生地を必要な分だけ購入して自分が作りたいものを作るというご提案になります。例えばロングスカートですと70センチとかご購入いただいてそれでスカートとかブラウスが作れる形です。加えて捨てる生地が出てくるんですがそちらの小さい生地を使って小さいバッグ、お子様のバッグを作るとか無駄なく作れると思います」

 製品の脇には一人一人の作家について解説が記されています。

(ヘラルボニー 松田文登 副社長)
「障害者と呼ばれるのではなくて、一人の名前として、個人として認知されていく。ありのままを肯定されていく、そんな未来を描ければ良いなと思っています」

 「異彩を、放て。」をミッションに、ヘラルボニーの挑戦は続きます。