祖父の遺志継ぎ再建へ

6月。浪江町の帰還困難区域、津島地区の空に槌音が響きました。

浪江町津島地区の長安寺。ここは一度、更地となった場所ですが、いま、本堂が再建されています。足場が組まれ、緑色の屋根も姿を現しました。横山法弘さんは、先代の跡を継いで、2024年に住職となりました。

6月15日、梁や柱が組みあがった長安寺に、檀家や関係者が集まり、工事の安全を祈願する「上棟式」が行われました。原発事故の後、解体を余儀なくされた長安寺は、いまは、福島市に「別院」を構えています。「別院」では、津島への帰還を望みながら亡くなった人たちの遺骨を預かっています。ふるさとに納骨するかどうか、迷っている人も少なくありません。

先代の周豊さん。横山さんの祖父です。原発事故で各地に散った檀家を支えてきましたが、2024年に亡くなりました。周豊さんが果たせなかった寺の再建を決めたのは、横山さんです。将来の負担などを考えれば、大きな決断でした。

横山法弘住職「本日6月15日というのは、実は我々真言宗の宗祖であります弘法大師がお生まれになられた日だとされております。この津島の地が、長安寺の境内が、檀信徒の皆様にとりまして再び憩いの場となること、ひいては多くの方々が訪れてみたくなるような寺院となることを祈念し、上棟式を執り行わせていただきました」

再建に向けた節目の日のあいさつ。横山さんが、言葉に詰まる場面がありました。

横山住職「旧伽藍(がらん)につきまして、これまで多くの檀信徒の皆様の尽力により興隆がなされましたが、放射能汚染により大半を解体せざるを得ませんでした。もちろん今も元の伽藍に思いを馳せることもございますが、それに執着するばかりではなく、これからの時代に即した新しい伽藍での興隆に努めてまいる所存です」

遠くなったふるさとで、徐々に形となっていく新しい長安寺。檀家の住民も、こみ上げる思いがありました。

檀家代表・三瓶忠良さん「これまで更地であった地に、日々本院が再建されていく姿を目にするとき、私たち檀信徒一同、言葉には言い表すことのできない感動を覚えます」