恐れた「叩かれる自分を見た同僚の萎縮」

その後、平井さんが勤めていた学校には、「偏向教育」などといった抗議の電話やFAXが相次ぐようになった。そして学校長は、「慰安婦に関する授業をしないように」と平井さんに求めた。バッシングに晒された平井さんだったが、恐れたのは自分の立場ではなく、叩かれていく自分を見た周りの教員が萎縮していくことだった。

「だから逆に負けられへんかった。絶対ここで私は教師を辞めたり、その授業をやめたりしないと心に誓っていました。そこでやめたら自分がやってきたことを否定することになるし、これからやろうと思ってる人たちが、『そうだよな、やっぱり私たちもやめておこうかな』ってなりますもんね」

萎縮を広げないために「負けられなかった」と語った

平井さんの授業は大阪府教育委員会の調査を受けたあと、「生徒に偏向した内容を教えるものではなかった」という結論が出た。

辺野古沖の事故をめぐる文科省の判断について、学校の安全管理が不適切だった点は理解する平井さん。しかし教育内容が「教育基本法違反」という判断については、今後の学校教育に禍根を残すと強く批判する。

「教育基本法違反という判定はとても重い。この判定がひとり歩きしてしまうんじゃないかと」

同志社国際高校の研修は「教育基本法違反」だったとした文科省

「現場の教員は自分たちがやってきた教育に関しても『そういうふうに断定されたらどうしよう』と萎縮するんじゃないか。子どもたちが平和を学ぶ機会が奪われていくと、最終的には子どもたちが不幸になっていくと思うんです」

学校現場の萎縮が子どもたちの未来にも影響するのではないか、平井さんは心配を深めている。現場の教員たちは転覆事故の影響をどう受け止めているのか、記事後編で見ていく。(取材 下地麗子)