トヨタ自動車のハイブリット車「プリウス」から部品を盗む被害が千葉県内で相次いでいます。しかも狙われるのは旧型のマフラー部分ばかり。排気ガスを浄化する「触媒コンバーター」に使われている希少金属(=レアメタル)の「パラジウム」などが、ロシアによるウクライナ侵攻によって高騰していることが犯行の背景にあるようです。
旧型「プリウス」盗難相次ぐ 狙いは“マフラー”

千葉県内に住む男性は車に関して、2022年11月に2度目の被害に遭いました。
盗難被害に遭った 千葉県在住の男性(76)
「買い物に行こうと思って、ここに来て、いつも通り外だけチェックして、何ともないなと思ったんですね。乗って出て行こうと思って、ちょっとふかしたら、エンジンがバリバリバリバリって音がして、“雷小僧”っていうか、もうすごい音して」
駐車場にとめていた旧型のプリウスに乗ったときの“異変”。慌てて、ブレーキをかけ、車をおりると・・・
盗難被害に遭った男性(76)
「エンジンルームを開けてみたけど、エンジンは何ともないんですね」

実は、排気音を抑える役割などを担う車の「マフラー」が盗まれていたのです。男性は5年前にも、プリウスを車ごと盗まれ、買い替えたのが、このプリウスでした。
盗難被害に遭った男性(76)
「(部品代で)2か月分の年金が吹っ飛びましたね。もう古くなったから盗まれないだろうと思ってたら、部品代が高いということで、悔しいです」
千葉県内では2022年、車のマフラーを狙った窃盗(触媒のみも含む)が前の年の約16倍にあたる173件発生。このうち、約9割近い151件が旧型のプリウスを狙ったものでした。
「素人では盗むのは難しい」高騰レアメタル狙いか
なぜ、旧型のプリウスの部品ばかりが盗まれるのでしょうか。
背景にあるのが、希少金属=レアメタルの存在です。
マフラーには、「触媒コンバーター」と呼ばれる排気ガスの有害物質を浄化する装置が連結されていて、耐久性の高い「パラジウム」などが使われています。

パラジウムの生産は、ロシアが世界シェアの4割以上を占めており、ウクライナ情勢を受け、ロシアからの供給が滞り、取引価格が高騰しているのです。
ある捜査関係者は・・・
捜査関係者
「旧型のプリウスには、新型よりも多くの量のパラジウムが含まれるため、狙われやすいのではないか」
こうした「触媒コンバーター」を狙った窃盗被害は、世界でも。

イギリスのロンドン警視庁が公開した映像では、捜査員が突入した複数の犯罪組織の拠点からは、大量の「触媒コンバーター」が押収されました。
カー用品の販売や自動車整備を行う店の担当者は、「素人では盗むのは難しい」と指摘します。
スーパーオートバックス千葉長沼店 若松亮人さん
「なかなか見慣れてないとピンポイントでそこを狙ってっていうのは、工具を揃えていないと、いきなりご家庭にあるような手持ちの工具で外そうっていって外せるものではないかなと」
新車ではないからと油断せず、被害に遭わないようにするためには・・・
スーパーオートバックス千葉長沼店 若松さん
「盗難防止装置みたいなセキュリティをつけていただいて、犯行に及ぶ人のちょっと一歩をためらわせるっていうような対策が一番有効かと思いますね」
警察は、犯人らが買い取り業者に転売しているとみて捜査しています。