日本で感染者が確認されて丸3年が経過した。ワクチン接種が進むいっぽう、一日の死者数は過去最多を記録した。今後のワクチン接種について大阪公立大学大学院・城戸康年教授は、「3回接種していれば十分で、4、5回目のあきらかなメリットは明確でない」と話した。また、率直な意見として「この3年間でコロナは大きく変わったのに、社会システムは大きく変えられてない」と話した。

―――新型コロナの新規感染者数、スタートは2020年1月15日から、第1波、第2波、第3波はグラフでもう見えないぐらい小さな波です。第4波前にワクチンの接種開始。「接種を受けましょう」という社会の流れが生まれます。夏に第5波があって、東京オリンピックも開催されました。2022年は第6~7波、現在は第8波と呼ばれています。感染症が専門の城戸康年教授は、この3年をどう振り返りますか。

はい。簡単にまとめれば2020年は、薬も検査もおぼつかなかった年で、行動制限もやむなしの時代だった。2021年はほとんどワクチンの年。2022年はオミクロン株の年で、ありふれた感染症の時代になったと思います。医学的に振り返ると、これまで人類が経験してきた感染症が辿った道と大きくは変わらない。変わったのは、「ワクチンが思ったより早く出てきたことと、ワクチンが思ったよりも早く効かなくなったこと」。日本社会に限れば、この3年間で大きく変わったのに、社会システムはあまり大きく変えられてないというのが率直な意見です。

少なくともワクチンが行き渡った時点では、もう封じ込めは不可能であると思うので、そのうち免疫が一定数行き届けば、「ウイルスは必ずそれから逃げる」。つまりオミクロン株のようなものが出てくるのは当時から想定されていました。方向性として「弱毒化」も想定されるので、こういう世界になるんではないかなと以前から思っていた。

―――ただ、全国で確認された死者数は、1月14日で過去最多の503人と発表されました。コロナの病床使用率も、34都道府県で5割を超えています。