病気発覚で感じたのは「安堵」

多くの学生が関心を持っていたのは、池江選手と岡崎さんが、病気やけがからどのように復活してきたかについてです。逆境に直面したとき、自分の気持ちをどのように捉え、乗り切ってきたのか。世界で活躍するアスリートとしての心構えが、学生たちに伝えられました。

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(岡崎慎司さん)
「僕であれば2週間から3か月ぐらいの短期のけがはありますが、そのときは『このけがを治せば成長につながる』とか、ゴールが見えやすいので。どちらかというとモチベーションが潰れることはないというか、復帰するだけではなくて、けがをする以前よりも成長した自分になりたいと、ポジティブに転換して乗り越えることができたのですが。逆に池江さんのように病気になって、競技も辞めなければいけないかもしれない状況になったときに、どういうふうに目標を設定して乗り越えたのか。当時の気持ちのコントロールや、目標までのたどり着き方を聞かせてほしいです」

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(池江璃花子 選手)
「正直病気になったときは、ほっとしたという気持ちがすごく強かったです。その理由としては、自分も日本記録がどんどん出ていく中で、急にトレーニングができなくなって私生活もままならない状況になったときに、不安の方がすごく強くて、『私はもう、選手生命は終わりなんだな』と思い始めていたときでもあったので。その分、病気だと分かったときに『原因が病気で良かったな』と。病気になって良かったわけではないのですが、自分の選手生命が終わるわけではないのだと捉えられたのは、病気に向かう直前の気持ちとしては、だいぶポジティブだったかなと思います」

「入院中も世界選手権が韓国で開催されていて、時差がほとんどないのでライブで試合を見ているときに『自分がこの試合に出られたらメダル取れていたのかな』という悔しさや、胸が痛む思いはすごくあったのですが。入院中はあまり水泳のことは考えずに、自分のやりたいことや見たい映画を楽しみに生きていたという感じでした」

(池江璃花子 選手)
「復帰してからのほうが正直つらかったなと思うのですが、その理由は昔のように体を動かせないとか、昔のような強い気持ちでトレーニングができないとか、思うようなタイムが出ないという悔しさや、虚しさです」

「泳げるようになったことの幸せや嬉しさよりも、泳げるようになったことで感じる虚しさや悔しさが非常に強くて。毎日車でトレーニングに行っていましたが、車の中で帰り道に1人で泣きながら家に帰っていたのが日課でした。今でも完全にその悔しさや虚しさが消えたかと言われたら、正直そうでもないです。皆さんが私の生活やトレーニングをどう想像されているか分かりませんが、正直つらいことの方が8割以上です。楽しいことはほとんどありません」

「私は今、社会人4年目になりますが、3歳から水泳を始めて、ずっと続けてきて、水泳は大好きなので泳いでいるときの楽しさはありますが、結果がすぐ出るとか、頑張っているだけで報われるという世界ではないので。楽しいけど楽しくない、つらい毎日の繰り返しです。復活していく過程に関して、楽なことは1つもないと思っています」